この本の中で著者は、いま日本企業の中で指導者のかがみといわれている「下に優しい上司」や「弱く、甘く、冷たい指導者」を尊重する風潮に警鐘を鳴らし、弱音を吐かずに、困苦にも耐え、部下を厳しく育て、自ら先頭に立って道を切り開いて戦う「鬼の上司」の復権を願っている。不況期の今の時代を生き抜き勝ち組企業となるためには、「会社は、戦闘組織である」ことを認識し、「戦わない人に経営を預けることは、会社の死を意味し」、「戦わなければ必ず負ける」ということを理解せよと主張する。そして、その戦いの先頭に立つ上司のあるべき姿とは、命令によって部下を動かし、部下の仕事を正当に評価し、模範を示し、部下ができるまで繰り返し教えることだという。つまり、強い組織、強い会社を作るためには、「一頭のライオンに率いられた百頭の羊の群は、一頭の羊に率いられた百頭のライオンの群に勝つ」ということわざにあるように、指導力と統率力を持った上司の復活と、社員の価値観を変え、新しい目標に向かって意思統一を図ることが重要であるという。組織と人材を考えるヒントが詰まった1冊だ。 (増渕正明)
個別の内容は傾聴に値するのですが、文章に流れがなく拡散
してしまっていて、言いたいこと1本に収束していない気がします。
おそらく著者の文章力の問題だと思います。言っている内容は、
非常に的を得ていますので、講演会や直接著者とお話できれば、
もっと「鬼」上司の意味を理解できると思いました。
「会社は赤字で潰れるのではない。人材不足で潰れるのだ。」
「報・連・相は大事だが会社の目的ではない。手段、方法である。」
「小企業を人を何千人も抱える大企業にしたトップは人材教育を諦めなかったから出来た。」
などは何度もうなずかされるところです。
経営者感覚と言う言葉を実感させられる書です。
経営トップばかりでなく、多くの方に読んでいただきたい本です。
できれば前作の上司が「鬼」とならねば部下は動かずも併せて読むとより理解が深まります。
いろな意味で高い視点・広い視野から導かれた提言であり、思想的な偏りも少ないように感じるので、上司と呼ばれる人たちだけでなく、部下といわれる人たちにも、ぜひ一読をお勧めしたい。
この本を時代錯誤だと一蹴するのはたやすいが、閉塞した深刻な不況のなか、こういった「別の」考え方も必要になってくるのかもしれない。
40代以上の方はこういった考え方ができるが、40歳未満の方はあまりなじみがない考え方であり、あえて一読を勧めたい(私は35歳)。