軽快なストーリー展開
★★★★☆
大評判のLincoln Rhymeシリーズの前作「Cold Moon」で登場した女性捜査官Danceが主人公。
証拠主義のNYのRhymeと全く対照的に、西海岸のDanceは「人間嘘発見器」と異名をもつ尋問の専門家。
彼女は、「マンソンの息子」と呼ばれて服役中のカルトリーダー、Daniel Pellの新たな容疑を解決するために、彼の尋問に取り掛かるが、それが悪夢の始まりだった。
作者の本を読み続けているうちに、いわゆる「どんでん返し」に身構えて読む癖がついてしまったが、それでも「期待」を裏切らない。最後まで続く思いがけない展開に、ついにんまりとしてしまう。
Danceは魅力的なシングルマザーで、殺人犯を追うかたわら、私生活でも悩みは耐えない。それでもあくまでもストーリーは軽快に展開する。どんなに簡単に、そして多くの犠牲者が出ようとも、湿っぽくなったり、暗くなったりせずに、独特の「ひねり」を繰り返しながら軽快に進んでいくのには妙に感心してしまう。
しかし、Rhymeと「競演」することで際立った彼女の魅力も、独り立ちすると少し弱い部分があるかな?という感じです。それとDaniel Pellが「マンソンの息子」というわりには、スケールが小さすぎました。
それでも十分楽しめる娯楽サスペンス。おすすめです。
新しいシリーズへの期待高まりました!
★★★★★
The Cold Moonで初登場したKathryn Danceがメインのストーリー。物理的証拠をモトに事件を解明するLincoln Rhymeとは異なるスタイルなのが新鮮です。
軽妙且つ意表をつくストーリー展開も、随所にDeaver節が効いてて(笑)、一気に読んでしまいました!
Lincoln RhymeシリーズとKathryn Danceシリーズの二本立てでどんどん出していただきたいものです。
次作が待ち遠しい!と言うか待ちきれない!
天才的捜査官と動物的勘を持つ犯罪者の、能力の限りを尽くした戦い
★★★★★
California Bureau of Investigation (カリフォルニア全体の難事件を捜査する機関)の捜査官Kathryn Danceは、尋問の専門家であり、容疑者の表情、声の抑揚や身振りから真実を見つけ出す天才的能力を持っている。彼女は、一家惨殺の犯人であるDaniel Pellの再捜査を担当する。Pellは既に刑が確定して服役中であるが、ある未解決殺人事件の容疑者として彼が浮上したのである。Pellを尋問したKathrynは、Pellの反応の中に、不可解なものを感じるが掴みきれなかった。
その後すぐにPellは、逃亡してしまう。そしてそれは巧妙に仕組まれ計画であった。Kathrynは能力を最大限に使って、Pellを追うが、Pellもまた、人間の心理を深く読み、動物的な勘と人を操る能力をもった恐ろしい犯罪者であった。Pellは次々と捜査網を突破し、犠牲者も多くなる。
やがてKathrynはPellの行動の中に重要なパターンを発見し、そこからKethrynたちの逆襲が始まる。
ストーリーは巧妙で、特にKathrynによる鋭い心理分析と、Pellの動物的な知性の戦いは見応えがある。
また、Pellに関わり被害を受けた女性の描写も、精密で真実味がある。ラストも凝っている。これで終わりかと思ってから、もう少し続くが、この部分もなかなか読み応えがある。
ミステリーでこれだけ知的な戦いを描いているものはあまり知らない。