難民保護という理想を求めて現実的な対応を模索する
★★★★☆
緒方さんが奔走したUNHCR10年間の回想録.
クルド人,ボスニア,ルワンダ,アフガニスタンの事例が書かれている.迫害をし続ける紛争当事者達と行動を起こさない先進国の間に挟まれながらも,出来るだけお多くの難民を保護しようとするUNHCRの関係者に心を動かされる.一方で,命を救えなかった多くの難民のことも書かれており,活動の困難さも述べられている. 難民保護活動には,効果的な政治活動と外部からの軍事介入がないと,目的を達成するのが困難だ,という意見に説得力を感じた.
難民問題に対する現実的な対応とは何か,現場で奔走してきた彼女の述べる言葉である.高い理想で現実が見えなくなりそうなときに,目を覚まさせてくれる本である.