置き去りにされる「からだ」の見直し
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なるほどな、と思ったのは「インテリ風の婦人に多いのですが―非常に高い、細い声音で話す人が多い。
たいていは胸を吊り上げて、胸と頭だけに声を響かせている。」
「聞いていて安心できない、じきに疲れてくる」
いるよね?こういうおばさん。で、あんまり話を聞かなかったりするよね?
これは決して姿勢をよくしろとか、声の出し方を工夫しろという話には留まらない。
ことばというのは他者とのコミュニケーションだけど、ことばはからだと一体となって初めて伝わってくるんだ、という話。
「足が釘付けになる」「開いた口が塞がらない」「声を呑む」「息が止まる」「血が退く」「腰が抜ける」…
これを「驚く」だけで表現できるだろうか。
頭だけで素早く処理したところで、他者どころか自分の感情さえも見失ってしまう。
それが分からない教師はそんな人間を育てちゃうよ?という教育批判の本。
でも、教育にとどまらず、「からだ」の大切さを見なおせる良書。
教育の「常識」を根底から覆す書
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教育では、「ひとりひとりを生かす」ことが目指されています。それは理想だ、と軽薄な現実主義者たちはそのコトバを冷ややかに見ますが、本書では、その「美しい」コトバこそが、俎上に上げられます。「子どもがどういう状態になったとき『生かされた』ということになるかは、教員のイメージに予定されていて、それにうまくはめこむ、という発想です」という著者の指摘は、重く深い。
自他共に「良心的」であるとされる教員の「からだ」は、ほんとうに子どもたちに「向きあって」いるのか、「子どもたちの側に立つ」ということはどういうことなのか、そんなことはそもそも可能なのか、著者の投げかけるコトバのつぶてに圧倒されます。
伝える
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伝わる体、伝わる声、伝わる心
自分ってものを相手に届けるとは
相手が自分にとってなんなのか
すべての大人に、子どもに向けたメッセージ
あまりにも最近の教育は「からだ」を無視している!
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読んでいくうちに、ううむと自分のとっている窮屈そうな姿勢を直しました(笑)
思えば、学校で習うことって、精神的なことばかり。体育でだって、どうやったら自然に体が動くのかは教えてもらえない。でも人間のからだって、心と別々のものじゃないはず。からだについて、声について、色々と考えさせられる本です。
心理学を勉強している学生さんにもお勧めですよ。