過激なの?と思いきや、実は純愛ストーリー
★★★★★
あらゆる背徳的な遊びを追求する、リッチな貴族のために
作られた悪名高き紳士同盟、ヘルファイアーリーグ。
ここのメンバーってことは札付きの放蕩者ということ
なわけですが、このリーグのメンバーを主人公にしていく
ノートリアスシリーズの、これが第一作目。
シリーズ名も過激なら題名も刺激的。
おまけにのっけからびっくりするような背徳的シーン。
作者の意気込みが伝わってくるよう。
過激さが売り物なのかと思いきや、それはあくまで飾りの
イチゴ的な存在で、食べ応えのあるところはちゃんと
せつなーいラブストーリーが主軸になっているところが
すごいなーと思いました。
ヒーローのダミアンはリーグの創始者で、まさしく伝説的な放蕩者。
悪魔も魅入られそうな美貌にうなるほどの富とカリスマ。天才的な
賭けの才能。その所業と名前(ロード・シンクレア)から、ロード・
シン(罪)と呼ばれてます。
一方のヒロイン、バネッサは清楚な美女で貧乏子爵の長女。お金の
ために意に染まぬ結婚をして辛酸をなめ、未亡人となって実家に
出戻り、家族の面倒を一手に引き受けているわけです。
正反対の二人は、ヒロインの弟が引き起こした悲劇のために、深く
かかわるようになるわけなのですが。。
放蕩者が改心するというストーリーは、ヒストリカルの永遠のテーマだと
思うのですが、この本はヒーローの心境の変化が丁寧につづられていて
とっても好感が持てます。
ヒーローの中で、ヒロインがどんどん大切な存在になっていく過程が
無理なく描かれ、その彼女が愛人として周囲から低く扱われることに
だんだんジレンマを感じていく。。。最後の盛り上がりもよかったです。
読んで損はない本のひとつだと思います。