差別とは何か 知る事、考える事の必要性
★★★★★
太郎次郎のコンビ猿回し芸人で一世を風靡した村崎氏のまさに自伝。
そして自身の出自をカミングアウトして、差別問題を提起している。
多くの被差別部落の方が口をつぐみ、肩身の狭い思いをしている現状。
逆差別だという法律も存在はした。しかしながら、多くの書籍がすでに
記述してきたように、まったく根拠のない身分差別が日本という国家に
存在した(している)事実は否定しようがない。
猿回しという芸能に関して宮本常一(民俗学者)と村崎修二(太郎の伯父さんにあたる)の係わりを記しておきたい。
村崎修二が宮本を訪ねて話を聞いた。
「部落史と芸能史と女性史は、日本民族学であえて目をつぶって避けた三大テーマじゃ。これはそれをやってこなかったわし自身の自戒をこめていうんやが、この三つをやらなければ日本民族学は学問として本当は完成しない。部落問題でも離島問題でも一番大切なことは、地域に人間をつくることじゃ。君がそれほどやる気なら、実際に猿回しの芸を復活してみたらどうじゃ。いますぐ評価されなくてもいいではないか。五十年、百年たってのち世の人々が、あの人がやってくれたおかげで、ということがあってもよいではないか。わしもできるかぎり協力する」
その後、宮本は村崎をモンキーセンター(犬山市)に紹介しサルを譲ってもらい、今西錦司等のサル学者も紹介していった。また宮本との交友もあった司馬遼太郎とも知り合う。
司馬を訪ねた村崎に、司馬は「今西さんと宮本さんか、キミもすごい人に見込まれたもんやな、日本の本当の学問はそのお二人の間にしかあらへんのやで」といったあと「宮本さんほど恐ろしい人をワシは知らん」と言い、その後、宮本の凄さを例をあげ話したという。
買いです。
★★★★☆
10年ほど前、何かの折に熊本の「猿まわし劇場」を見る機会があって、正直辛い気持ちになった記憶があるので、本書もおそらく朝日か毎日だったかの書評を目にしなければ読まなかったと思います。ただ、猿まわしと被差別部落とのつながりについては、そういえばなにかで読んだか聞いたかで知ってはいたのに、著者をテレビやなにやかで目にする機会があっても考えてみたこともなかったのは、ひとえにその話芸と芸風の明るさの成せるわざでしょうが、そんな人からこういった重たいお話を伺うと、もちろん単純に「笑える」エピソードも多いのですが、読後、心のなかに澱みのようなものが残ってしまっていることに気づかざるをえませんでした。特に序章に書かれている母にぶつけた「どうして自分を部落の子に生んだ」云々の言葉は、その母の心中を察すると、そこに到る蓄積や事情があるにしろ、いや、あるであろうからこそ、胸につまされるものがありました。
感動しました
★★★★★
サンデージャポンで知り購入しました。猿まわしの村崎太郎さんの生い立ち、生き様が書かれていました。苦労に立ち向かう村崎さんの姿やまわりのあたたかい人たちに支えられ生きる姿に感動しました。村崎さんの魅力に引き込まれる一冊です。一読の価値ありです。ぜひ、多くの人に読んでいただきたいです。絶対お薦めです。
とにかくおもしろい
★★★★★
とにかくおもしろい.
波乱万丈の半生を,テンポよい文章で綴ってあり,一気に読んでしまいました.
構成は,関係した人ごとに書かれているのですが,ちょっと経験できないような体験が次々と出てきて,おもしろく読めました.
実は,深刻で複雑な問題が潜んでいるのですが,その問題が出ては消え出ては消えしながらも,落ち込みながらも,また復活するという,人間として生きていくたくましさを感じることができます.
部落問題を簡単には解決できないけれど,ふたをしたままではいけないという作者の気持ちが,前向きに生きる,楽しく生きるにつながっているのだと感じました.
機会を見つけて,部落問題が解決することにかかわりたいと思います.
深い本でしたね!
★★★★★
猿まわしの太郎さんがかかれたということなので、お猿さんとの生活ぶりが沢山書かれているだけの本かと思って読んだらそうじゃありませんでした。
もちろん次郎くんとの体験談も沢山ありましたけど、人間との触れ合い体験談がビッシリ!
誰もが共感できるエピソードの山なんですよ。
けれど誰もがたいけんできるわけではないエピソードだらけなんですよ。
こんなふうに友達とか家族とか中間とかと色濃く深く付き合っていけたら、人生楽しいだろうなぁ・・・って羨ましくなる感じです。
けど、「あとがき」はシビレます。
人生に息詰まっている人は、絶対読むべきだと思いました!!