“リアル・アメリカ”を撮らせたら右に出る者のない
オリバー・ストーンの強烈なスパイスによる味付けは、
「JFK」を超える深遠な衝撃と味わいを喚起する。
(JFK暗殺の黒幕がニクソンだという大胆な仮定は
オリバー・ストーンにしかできない真骨頂といえる)
ニクソンについては不名誉なウォーターゲートのみが語られるが、
スペースシャトル計画を開始したのも、またよく映画に登場する
麻薬取締局(DEA)を設置したのも彼である。
そんなニクソンがいかにして生き抜いたかを
彼自身の視点で描いた本作は、まさに傑作といえるだろう。
この時、たしかに「ニクソン=強いアメリカ」だった。
たとえそれがいかに歪んでいようとも、
それは厳然として、その時代には在ったということを
我々は忘れてはならないのだ…