インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ポー名作集 (中公文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
「切れ味鋭い論理」と「幻想的な文学性」が同居した珠玉の短編集 ★★★★★
ポーの代表的短編8つを収めた作品。「大渦に呑まれて」、「落とし穴と振り子」を加えれば、デュパンもの三作を含めた代表作がほぼ揃う形になると思う。ポーの短編集は幾つか出ているが、本作の編成がベストではないか。「スフィンクス」以外は40年振りの再読だったが、改めてポーの魅力を堪能した。

ポーに関しては詩作も含めて、幻想的・耽美的と言うイメージがあるが、実際は"理知"の人であった事が良く分かる。「大鴉」に関するインスピレーションについて尋ねられた際、ポーはこう答えている。「詩とはこれ、計算なり」。例えば「黒猫」のジワジワと滲み出る恐怖も計算付くの構成で生み出されている。本作には収められていないが、難破船で海中に落下する漁師の恐怖を描いた上述の「大渦に呑まれて」も、ポー自身は海に出た事がなく、想像力と計算だけで恐怖を生み出しているのである。世界初のミステリ「モルグ街の殺人」は、当時のヨーロッパで起きた実際の未解決事件をポーが紙上で理知的に"解決"したものである。知性の煌きと幻想的味わいが同居している所にポーならではの魅力がある。

また、ポーは一人でミステリのあらゆるパターンを創ってしまった感がある。ある種の密室形式、犯人は「***」とのパターン、天才探偵とワトソンのコンビ形式、「木は森の中へ隠せ」、暗号もの、論理小説、霊的事象に頼らない恐怖小説、ドンデン返しを含む落とし話。本当に凄いと思う。本作では、その全てが堪能出来る。また、ポーは長編ミステリを書いていないが、ミステリの本質は短編にあるとの確信があったのだと思う。「切れ味鋭い論理」と「幻想的な文学性」が同居するポーの余人に代え難い魅力が結実した珠玉の短編集。