江戸のカルト・稲毛屋金右衛門の御蔵門徒潜入記
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タスケタマヘの聲が聞える——。
天明年間の文化人として名高い戯作者・平秩東作。
平賀源内・大田南畝らと親しく交わり、田沼意次政権をパトロンに据えて蝦夷地開拓などに励んだ彼は、かつて浄土真宗の異端である「御蔵門徒(おくらもんと)」と呼ばれる秘密宗教に潜入し、幕府の密偵としてその摘発に奔走した。
この御蔵門徒摘発事件の全ては、東作自身が後年息子に語った所を記録した『庫裡法門記』に詳しいため、本書ではこれを底本として他の諸資料の見解をはさみつつ、事件の全貌を克明に描き出す。
そこには、二百五十年を経ても変わらない市井の人々の苦悩や、生々しい救済への渇望が色褪せずに残されているはずだ————。