医療も「経済」である
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講座「医療経済・政策学」も第3巻です。本書は、医療提供制度(体制)の経済学的分析と政策研究の巻です。
第1章わが国の医療提供体制の展開(田中滋)では、徴兵制に類似した徴医制でもなく、計画経済の一環としての医師配置でもなく、住民の地域単位での指定医制でもない、我が国の特徴である「医療機関の自由開業制」と患者にとっての「フリーアクセス」の意味を、明らかにし、議論の基本骨格を明示する。
第2章地域医療計画の課題と新たな展開(池上直己)デハ、資本主義・自由経済体制にありながらの、日本における医療計画の歴史とその中で指摘されてきた問題点を概括する。
第3章 医療と非営利性(遠藤久夫)は、近年論点として浮上する医療における「営利・非営利」問題を整理し、決着を試みる。
第4章医療の質と原価の評価―根拠に基づく医療提供制度の設計・経営・政策に向けて(今中雄一)議論の基礎となるべきデータの在・不在の峻別を解明し、経済学的分析の効用と限界を示す。
第5章在宅医療の普及阻害要因(田城孝雄)では、外来・通院医療、入院医療に次ぐ「第3の医療」と言われる「在宅医療」の今だ顕在化しない需要とその普及阻害要因を制度・経済面から解明する。
第6章患者の医療機関選択(真野俊樹)は、医療という財の特性をより経済学的アプローチから整理する。
第7章 医療提供組織の効率測定の諸手法(河口洋行)は、「経済効率性」の概念紹介と医療への応用の手法とその困難を明らかにする。
第8章民間病院の経営分析と資金調達 (松原由美)は、患者・国民に忘れがちな論点である「民間病院資金調達」を明らかにし、国民に議論への参加を呼びかける。