臨床医療経済学の入り口
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「講座・医療経済・政策学」も第4巻となり、「臨床経済学」からの各論の入り口に近づいてきました。
本巻では、医療技術や医薬品の「効果」の測定、「費用」の算出、複数ものの比較の考え方とその技法が示されています。しかしながら、それらは完成品としてではなく、先行する欧米の研究成果を摂取した上での現在進行形の営為として記述されています。
研究の基礎となるべき我が国のデータの不在の指摘が、我が国の医療経済・政策学の進展の足枷となっている様子が垣間見えます。
「講座・医療経済・政策学」の中でも、医療現場の従事者に最も身近な部分と不得手とする経済数学が混在する領域と言えるでしょう。
ややもすると医療現場の従事者は、現場を持つが故に視野狭窄に陥りがちな体質を持つが、本書を活用し視点の再構築を図る上で有用と考える。