右手に銃、左手に苗木を!
★★★★★
アフリカの女性として初めてノ−ベル平和賞を受賞したワンガリ・マ−タイさんの伝記絵本です。
まず、表紙にも使われている最初の風景と、
マ−タイさんがアメリカへの留学を終えて帰国した数年後の風景との対比が印象的です。
遠くに描かれている山々の形は同じであるにも関わらず、
目に入る畑には、木や小川がなくなり、
一面「売るための作物」の栽培畑に姿を変えています。
神様の木とされていたイチジクの木もなくなっています。
マ−タイさんは、刑務所の囚人や軍隊の兵士まで、苗木を贈ります。
そして、兵士に語りかけるくだりで、
心に響く言葉に出会います。
「あなたたちは両手で銃を持っていますね。
でも、何を守るのですか?
風がふき雨がふると、この国の大地が失われていくのです。
銃は右手に持ち、左手には一本の苗木を持ちなさい。
そうやってこそ、よい兵士になれるのです。」
柳田邦男おすすめワ−ルドに、「木を植えた男」がありますが、
それと対になるような絵本です。
「木を植えた男」の主人公は、架空の人物だったのに対し、
こちらは実在の女性が主人公です。