オックスフォード大学のStephen Davies教授らが編者となって、化学の各分野を解説した全９８巻からなるOCPシリーズは、マスターコースの学生を対象としているだけあって内容は明解で分かりやすい。その中でも、本書は、官能基の保護、脱保護について、反応機構を図解で示し、丁寧に解説してくれている。意外にも、保護基に関して、こういった反応機構までしっかりと紹介している教科書は少なく、日頃から、保護、脱保護を使っている人が、一度、目を通しておくのは、勉強になると思います。和書で、ここまで系統的に教えてくれる教科書はほとんどない事を考えると、本場イギリスの学生が受講している教科書を通して、勉強するのは意義深いと思います。

有機合成反応を行う上で、保護脱保護という官能基変換は最も重要なスキルである。この本は保護基の体系的大別を行い、その系統別の保護および脱保護に関する説明が詳述してある。このような本には珍しく反応機構も充実し、そして内容を化学初心者でも分かるように細く説明を充実させてある。有機合成に携わる人間は一読すべきであろう。平易な英語で書かれているので気軽に読める点もこの本の優れている点であろう。大学学部生から大学院生まで幅広く使うことができる。