収集対象が偏っているのでは?
★☆☆☆☆
帯には「男色を容認して北日本の風土、文化と日本人の真相に迫る」とありますが、集められた明治以降の論文の半数以上には同性愛に対する差別的な意識が見えて、そんな視点から観察された「風俗」なるものはひどく偏ったものと言わざるを得ません。視点が視点だけに事実の観察すらバランスを欠いている恐れがある(目立つ醜聞を中心に記録したと見える論文(?)がある)と思われます。河岡潮風の感情的な一文などは個人的な趣味に基づく悪口雑言の類であって掲載に値しないと考えます。これだけのものをよく集めたとは思わなくもないですが、批判的に読むならまだしも、「民俗学」と題するとしたら誤解を招く本とすべきでしょう。