うぅぁ。
★★★★★
読み終えて、呻いてしまった。
この捩れた愛はなんだ。絡まり合った愛はなんだ。
語り手が入れ替わる度に、話は二転三転する。
登場人物たちの本心と事実とが明らかになるにつれて、
財産争いや人種問題などはテーマのためのエピソードに過ぎず、
愛という感情の複雑さを読者の心の底から掴み出す手法なのだと知る。
そして主題の幾重もの襞に挟み込まれたアメリカ社会の変貌は、
逆にいやが上にも終わらない人種差別問題を示唆する。
モリスンがこの作品について「完璧よ」と自信のほどを示した通り、
わたしなどはただ「してやられた」と言うしかない。
「女たちの脚は大きく開いている」
この書き出しに誘われて、再び読み始めている。