原作を読む、そしてあらすじで確認する。
製作した側としてはあらすじを読んで、原作に興味を、というものであろうが、確認以外には向いていない。
「高瀬舟」などの短編であればあらすじを読むよりも本編を読むほうが良い。
美しい情景、心理描写などが省略されているだけなのだから。
もっと本を読んでほしいという気持ちは伝わってきたが、もう少し工夫のある内容であってほしかった。
あらすじだけでは読んでも「あぁ、そうなんだ」とどこにも面白みを見出せないのでは。
あくまでこれは原作を読んでから手元に置く本だと思う。
僕は一冊も読んだことがなかった。
古くさい感じ。
意外に読みにくい。
目が活字の上を滑っていくだけ。
全然内容が頭に入ってこない。
内容を知っていたのは田山花袋の『蒲団』だけ。
『春琴抄』が良かったと思う。何が良かったのかうまく説明できない。
東大出身の作家ばかり。
『斜陽』、『放浪記』、『金閣寺』のさわりを読めただけでも良かったと思う。
読了。ちょっと期待はずれ。自分のせいか?
私が思うのは、本(原著)が売れなくなる要因にこそなれ、読書推進効果はナシでしょう。だって、その本を読んだ熱い思いが伝わるレビューや書評でもないし。
そもそも文学作品とは作者の「文体」こそ命なのに、その生命線が要約によってずたずたに引き裂かれ、脱臭されちゃっていますから。毒にも薬にもならない要約文学の力っていったい何なんでしょうか。
ためしに現代に存命中の作家は、このようにして自分の作品が要約されることを快く思うでしょうか。あらすじ化を承諾するでしょうか。それも自作のファンでもない人たちによって。
ひとつ聞いてみたいものです。
この本に収録されている作家の方たちは既に鬼籍に入っていますから、抗議の声も挙げようがありません。著作権は死後50年有効だそうですが、このような利用法で蹂躙されるがまま、というのはいかがなものでしょうか。
文学作品を「教育」(なんと胡散臭い言葉!)の名のもとにおとなしくガス室に押し込めてしまっているような気分になりました。言葉は厳しいですが。これではまるで「文学の強制収容所」ではないでしょうか。