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The Blue Sweater: Bridging the Gap Between Rich and Poor in an Interconnected World

価格: ¥1,327
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Rodale Pr
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貧困層にチャリティではなくビジネスを! ★★★★☆
筆者は世界の貧困をなくしたい、という強い情熱を持っている人である。
高給を稼げる銀行の仕事を投げ打って、開発援助の世界に飛び込む。
彼女の半生記を通して貫かれている主張は、貧しい人に物やお金をあげても彼らを本当に救うことにならず、彼らが貧困から脱出するためにはビジネスが必要だということ。
これは、例えばノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行の創始者が提唱しているソーシャル・ビジネスのコンセプトとも一致するものである。
筆者は、貧困層が被益すると判断されるソーシャル・ビジネスに投資することを目的としたAcumen Fundの創始者として、その業界ではかなり有名な人である。本書では、彼女のアフリカでの経験を通じて、Fund創設までの経緯、そして、Fundが資金協力を行ってきた事業が具体的に読みやすい英語でつづられている。開発援助という仕事に関心がある人にはお勧めしたい一冊である。

もうひとつの読み方は、本書の山場ともなっているルワンダの大虐殺について、そこで暮らす人々の視点から生々しい事実を知ることだろう。大虐殺の前後に、筆者が実際に体験したできごと、筆者と交流のあった人々の体験談が臨場感を伴って迫ってくる。平和と貧困との関係をもう少し掘り下げてもらえたら本書はもっと凄い本になると思ったが、彼女がなぜAcumen Fundを創設したか、という点が本書のテーマであれば、そこまで要求するのは酷と言うものだろう。続編を期待したい。
南北問題に取り組む女性の活動記 ★★★★★
著者のジャクリーンはアメリカの投資銀行の職を投げ捨てて貧しい人々の為に何かをしたいとの思いからアフリカに渡りアフリカ開発銀行のコートジボワール支店に赴任するのであるが、西アフリカの女性活動家にとってはやってきては数年で去ってしまう西欧の女性がそのトップに収まることは許し難いことであり実際に数々の妨害、更には食事に毒を盛られたり呪術を掛けられるとの忠告を受け、散々な体で転身を余儀なくされる。次いでルワンダに渡った著者は現地の女性に対するマイクロ・ファイナンスの事業、そして現地の女性たちによる焼き菓子工房の設立をサポートする。背景にある考え方は援助・寄付では本当に貧しい人々を継続的に救えない。経済市場原則に沿った方策での女性の自立が子供・家族の生活の向上にもつながるというものであった。

このルワンダでの活動自体はルワンダの女性の意識改革という困難な壁が存在したり創設者の一人である女性国会議員の横領疑惑があったものの成功裏に推移するのであるが、その後のルワンダでの民族対立による大量虐殺により国土は荒廃、その後同地を訪れた著者はマイクロ・ファイナンスの共同設立者や運営者のあり様に驚愕する。この部分だけでも多くのことを考えさせられるはずである。
一方、著者はルワンダでの体験からマネージメントとビジネス・プランの重要性を知りスタンフォード大学ビジネススクールに入学する。その後はロックフェラー財団に職を得た後、自身のペイシャント・ファンド「アキュメン・ファンド」を立ち上げ、インドやアフリカの地場の投資家を育て貧しい人々に寄与できる事業を育てる方策を手掛ける。

一見すると時流に乗ったNPO活動家の華々しい活動記ではとの誤解を与えそうだが、実際には一人の西欧側の女性として様々な文化や格差の現実に悩みながらも行動を進めていく著者の生々しい悩みと実行の記であると言えよう。

本書のタイトルにもなった「そのブルー・せータ」。その理由は是非本書を読んでご覧になって頂きたい。

文章はオーストリア系ということもあるのであろうか通常のアメリカ人の文章と若干違うような感じを持つが、読み進むにつれ慣れがついてくるので問題はないと思われる。




こころの驕りに問いかける? ★★★★★
国際援助の実情や試行錯誤の過程など、内容として申し分ないと思います。
ただ、個人的にもっとも考えさせられたのは、
己が恵まれていることをどこまで正確に認め、
ついては素直に享受し、さらに享受している自分を受け止められるか。

どんなに恵まれた環境でもきつい状況はあり、貧しい環境でも喜びはある。
けれど物欲にまつわる劣情をいかに見据え飲み込むさまを教えられた気がします。

そこそこなボリュームで充実した読後感を楽しめました。