インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

いなかの男の子 旅

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
Amazon.co.jpで確認
 ………………………………………………

 はじめは、まだ十代の子だろうか、と思ったくらい、若く見える男だった。すらっと細く、しかししっかり筋肉もついているきれいな体つき。少年の面影の消えていない、あどけない顔。かわいい子だな、と一目見た時から目が離せなくなった。股に軽く手拭いをあてているが、歩くたびにちらちらとアレが見えていた。残念ながら湯気ではっきりしないが、そこだけは十分大人びた大きさのようだ。なにしろこの風呂は小さくて換気が悪いから、湯気がこもって顔つきを見極めるのも難しい。だからつい、ジロジロ見てしまっていたのだと思う。向こうも気がついて、不審そうに顔を険しくしているようだった。
 きっとこの村の子なのだろう。じいさんの何人かと声をかけあっていた。だからよそ者の俺を見て、警戒しているのだ。と思っていたら、湯に入るなり当たり前のように俺の横までやってきて、肩まで浸かった。びっくりしたが、きっとそこがこの子の定位置なのだ。実際、俺とは違う方を向いて、近くのじいさんとなにやらきつい方言でしゃべり出した。
「……う?」
 思わず声を出してからあわてて口をつぐんだ。湯の中で、彼の膝が俺の膝にぶつかってきたのだ。それも、軽く当たってしまった、なんてものじゃない。はっきり、すり寄せてきた感じなのだった。心臓がドキドキと高鳴りだした。誘っているのか? こんな田舎で、こんな子供のような子が? ドギマギしている内に、いきなりこちらにくるっと向き直り、話しかけてきた。
「あんた、東京からの人?」

 ………………………………………………

 さびれて人気のない、山間の温泉地。仕事に疲れた男が一人旅でやってくる。そこで出会った田舎の青年。口の利き方はぶっきらぼうだが、顔はかわいいし体もすべすべでアレに積極的。恋に落ちるのは簡単だった。しかしそれはあくまでも旅先での出会いで……。
 初出『バディ』。「旅」シリーズの一作目。続き物ではありません。読み切り短編。

注意!
他サイトにて『冬の宿』というタイトルで配信されているものと内容は同じです。