「からだの科学」をベースとし、序文にもあるように「不用意不確実な情報の流布に組せず」コーヒーと健康に関する情報を正確に科学性をもって示すことを目的とした、ちょうど専門家と（相応の知識のある）一般読者の中間層に適した本でしょう。コホート研究（集団の長期追跡データ分析）結果を26名の専門家が「シンポジウムのテーマ別発表」のような形式で簡潔に説明しています。その意味で仮説や主張を排除していますので見方によっては実に話が面白くない、無味乾燥、素っ気なく短いものです。これはもともとそうすべく編集していますので確信犯、当然です。コーヒー成分の糖代謝、ストレス、高血圧、血管病、炎症、癌、骨折等との広範な関係（があるかないかを含めて）が題目です。そこをまず理解して、一般読者としては難解な専門用語や成分を少し飛ばして、コーヒーが持つかもしれない（「持つ」と言ってしまうと編者に怒られるかもしれませんので）素晴らしい医療・健康効果に思いを馳せるのが良いかもしれません。