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ネットの炎上力 (文春新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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ニュースメディアの本質がわかる一冊 ★★★★☆
タイトルからすると、某掲示板やタレントブログなどでのいわゆる「炎上」について書かれている本かと思いますが、さにあらず。

2ちゃんねるやタレントブログの炎上にも触れていますが、論旨は、新聞・雑誌・テレビといった旧来メディア対インターネットメディアの未来像についてです。

著者は、朝日新聞の社会部記者、AERA編集長を務めた後、ネットニュースメディア「J-CATSニュース」を起ち上げた蜷川真夫氏です。
さすが、記者・編集長を長年やってこられた方だけに、その文章力は光ります。文章が非常に上手なので、ネットのコメント欄という短文羅列で読みやすいはずの引用部分がもっさりと感じられるほどです。

ご自身が経験したことを書き留めておくことに価値があるという判断のもと、新聞業界、雑誌業界の裏話がわかりやすく書かれていて、とても面白く読めました。その結果、絶望の未来像だと思っていた新聞や雑誌は、ビジネスモデルの抜本的改革を伴いながらも、それぞれの特徴を活かした形で生き残っていくのだろうという意見に私も賛同します。

著者がインターネット普及期前から起ち上げている「J-CASTニュース」は、既存メディアの情報を独自の視点で編集し、ここに読者のコメントが加わることで、コンテンツの価値を高めています。まさしく双方向性のメディアと言えます。寄生虫との誹りを受けながらも、ビジネスとして成立させる仕組み作りがしっかりと出来ている数少ないネットニュースメディアです。このメディアを成功に導いた経験とノウハウを本書ではPV数の推移等の情報まで公開して説明しており、とても興味深く読めました。

また、グーグルニュースやヤフーニュースといったアグリゲイト型のニュースメディアについても、メディア側にいた経験からその違いやモデルを比較考察されていて、わかりやすい内容になっています。


 ネットニュースメディアは、新聞、雑誌、テレビとは異種のメディアである。コンテンツのコンセプトが違う。少なくとも現状では、同じ土俵に立っていない。(中略)既存メディアのように取材に労苦を惜しまないということをしない。経営的に成り立たせるためのビジネスモデルである。

 ネットニュースの未来を展望するとき、コメント形式の役割を重視しなければならないと思っている。少なくとも、J-CASTニュースの目指す方向は、コメントを通しての読者との双方向メディアである。数字では表しきれない、多面体の生き物のような声の固まり、それを世論と言ってもよいのではないか。


この引用でもわかるとおり、著者はネットニュースメディアの存在価値を既存メディアの土台の上に置いており、それが経営的にも効率が良く、さらに読者との双方向性を生み出すポイントでもあると言っています。少なくともいわゆる一次情報の存在意義は今後も存在しますし、そうでなければJ-CASTやヤフーニュース、グーグルニュースのような二次情報の存続基盤すら危うくなり、誰も情報を手にすることができなくなるからです。

ネットニュースメディアの今を緻密に丁寧に説明されている本書は、メディアの未来を語る上で貴重な羅針盤と言えます。
「まんじゅうころころ」主義に共感 ★★★★☆
著者は元朝日新聞記者にして、J-castニュースの社長。「メディアそのものに存在意義がなく、消滅する」というネット世論の中、ネットメディアで成功した著者が、汗をかけて取材している既存メディアは生き残るが、読者、視聴者の興味と、彼らのニュース感覚に隔たりがある現状に問題がある、と指摘しているのは興味深い。特に、著者が大阪府警のサツ周りだったころ、まんじゅう屋の店員が転倒して、セイロからまんじゅうが転がり出て黒山の人だかり、それをいつのまにか人だかりが人を呼ぶ…という状況を見た著者が出稿した記事がデスク、社会部、整理部のデスクが「おもろい」と、「まんじゅうころころ」という見出しで社会面トップを飾るという過程。「これ面白い」という一市民としての素朴な興味が記者には必要だということを痛感させられる。また、田中金脈問題華やかりしころ、著者が角栄の地元に異動して金脈研究をしたのも、記者の関心に応えるべくイレギュラーな人事運用を認める度量が昔の新聞社にはあった、ということだ。「顧客の興味に寄り添うべき」という、著者の新聞など既存メディアへの提言は傾聴すべき点がある。

個人的には、ブログ炎上を煽って傷口を広げる一因になっているJcasに「やめたれよ」と思うことも少なくないが、収益を上げるためにはネットユーザーの食いつきが良い記事を投入せざるを得ない。メディア記事に数行書き足しただけで独自記事のように書くことが多いのは頂けないが、メディアやサイトをウォッチして、さりげなくスルーされた有為な情報をすくい上げるというJcasの取材が毎日新聞サイト問題という特ダネを引っ張り出せたでのはないかと思った。「カスで結構、我々はジャーナリスト宣言はしていない」と開き直る著者の啖呵とともに、まんじゅうころころのように、もう一度読み手との距離を縮めようという著者のポリシーに共感を覚える一冊。
読みたい記事は何か ★★★★☆


 J-CASTニュースの発行人が書いた本です。人間が知りたいニュースは何か。
 日経新聞、四大新聞を読んでいる人でも実はスポーツ新聞のネタが知りたかったりすると思います。
 本当は人間は野次馬なのかもしれません。
 検索エンジンで知りたい単語の検索をするとなぜか「J-CASTニュース」に引っかかる事が多いのです。
 新しいメディアは確実に変化してきています。
 インターネット時代のニュースとは何かを考えるために参考になる一冊です。