本書はまさに『英語教育詩』ではないか
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いま日本の高校では新指導要領が出てから「英語の授業は英語でおこなう」ことが謳われ、「英語で授業」の嵐が全国の教室を吹き荒れています。ところが驚いたことに、山田先生は、すでに38年前に高校で「英語で授業」を自ら実践し、そのような嵐を乗りこえたうえで大学教師になったのでした。本書では、高校から大学に至るまでの、このような山田先生の、英語教師としての誠実な歩みが、失敗例を含めて、包み隠さず赤裸々に語られています。剣道部の猛者連中に、大学に来るまでこんなに勉強したことはなかった!と言わしめ、英語圏で生活してきた学生すら「こんなにエキサイトな授業は受けたことがなかった」と言わしめたベテラン教師の秘密が、本書に満ちています。これは、高校での素晴らしい実践がそのまま大学でも通用することを、38年の軌跡で証明した、ひとりの誠実で有能な英語教師の物語でもあります。マカレンコの名著に『教育詩』がありますが、本書はまさに『英語教育詩』ではないか、と私が考えるゆえんです。