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海底牧場 (ハヤカワ文庫SF)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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クラーク氏の海洋作品  ★★★☆☆
 先日お亡くなりになった、アーサー・C・クラーク氏の名作が復刊というか増刷されて出回っていたので早速購入して読んでみました。この本、イギリス人の著者によるかれこれ数十年前の作品なんですが、現状の日本と国際社会の海洋資源と鯨の利用についてのIWC等の現状を考えるとき、非常に皮肉な一冊となっており感慨深いものがあります。
 というのも、主人公のフランクリンが転勤で勤めることになった世界政府の食料庁では海洋資源の徹底管理を行い、鯨の養殖と捕鯨で世界の全食料の10数パーセントを賄っているからです。その未来社会、国際紛争もなくなり世界政府が統治して火星にも入植が始まっているような未来世界では、地上の農耕だけでは全人類の食を賄うことができず、海に大きな食料資源を求めるようになり、海での農場ともいえるプランクトンや小さなエビなどを養殖する部門と、鯨をまるで牛や羊のように放牧して育て養殖する部門とに別れており、フランクリンはそちらに所属することになります。
 この物語はその彼と鯨との関わりを、彼が鯨の監視員として研修をうける研修期、白鯨に出てくるような巨大なダイオウイカ(実際にこの種のイカは数十メートルになります)を捉える冒険期、そして最期に鯨を捕獲しなくてもある方法で食料自給が出来るようになるのではという誠次決断を迫られる最終期と大きく三つに分けて描かれています。そういう構造は、一種のビルディング小説として読めますが、根っこのところでは海洋冒険ものですので、理屈で考えるのでなく、鯨の監視員としての主人公と一緒に彼の活躍や成長を楽しむのがよいでしょう。
 最期の最期のほうで、仏教世界の導師から主人公は捕鯨をやめて欲しいと思う理由として一つの意見を提示しますが、それが現実世界で今迄きいてきた捕鯨反対の色々な意見の中でも一番印象的であるというのは皮肉であるし愉快であるとも言えます。そのあたりについては、是非読んでみて下さい。
反捕鯨小説か ★★★★☆
この作品が発表された年に生まれました
こどものころにジュブナイル版を読みました
学生のころ本編を読みました
未来では鯨を養殖して食用にしていました
それが残酷だというので鯨の乳を加工して食料にするという話です
捕鯨をやっている日本への当て付けでしょうか
感動的な負け組の自己犠牲の物語 ★★★★☆
海洋SFというサブジャンルを確立したSF史上に残る作品。
長編海洋SFとしては世界一。
問題は長編海洋SFなんてほとんど存在しないことだがw
短編も含めても、クラーク以外に書いた奴って、
ブリン、セント=クレア、グリムウッド、メルル、ニーブン、小松左京、安部公房ぐらい?ww
海洋SFは何故かイルカSFにもなるが、
イルカSF、海洋生物SFとしてなら、もうちょっと作品数は増えるか?
で、本書であるが、
宇宙飛行士が宇宙の事故で宇宙恐怖症になり、
無重力に似た環境の海底牧場のカウボーイとして第二の人生を始めるという話です。
SFの主人公は宇宙飛行士とか科学者とか、一般庶民に比べれば、
エリートぽい職業の人物が多いが、
宇宙飛行士としてはダメポの烙印を押された
アンチヒーローを主人公に持ってきた視点は、
現代に読んでも新しいかもしれない。
挫折した主人公の葛藤が心に迫ります。
負け組のダメダメ主人公だが、
自分の命を犠牲にして、
他人を助けて海の底に沈んでいくラストは泣けます。
宇宙で失敗した主人公は、海でも失敗するわけにはいかない。
二度も職務に失敗して生き延びたら、
社会人としてのプライドは完全に崩壊する。
自分が勝ち組ならOKという、
野蛮なゴロツキの自己中がデカイ面してのさばっている現代日本でこそ読まれるべき作品か?
まあ、勝ち組は、共感能力のない人格障害者が多いから、
自己犠牲の物語なんて感動しないかもしれないが…。
「楽園の泉」のコーラ警報のシーンに感動した人は、
本書も感動して泣いてしまうでしょう。
もっと評価されても良い! ★★★★★
 この作品に五つ星つけたら「えっ?」という人もいるだろう。クラークと言えば・・・と、指折り数えていく中で、多くのSFファンがこの作品を何番目に数え挙げるというのか。ひょっとして、忘れられているかも知れない。それほど、クラークの作品地位としては、地味なスタンスだ。

しかしちょっと待ってほしい。この地味なテーマ、渋すぎるアイデアで、他の何人の作家がここまでドラマチックな物語を構成し得るだろう。しかもこれは、SFというジャンル以外では全く完成することのない、繊細なドラマだ。生半可な成長テーマなど消し飛ぶ、思いつきの未来社会テーマなど比較にならぬ、リアルなサイエンス・フィクションの傑作。

ちなみにジュブナイル版もありますが、第一部で終わっちゃってます。友情テーマにしたかったんでしょうか。