―「私」の父が死んだ日、マスコミは、冥王星のかなたに発見された謎の巨大物体の話題でもちきりだった。一方、ローマの支配が崩壊しつつある5世紀のイギリスで、一人の少女が過酷なサバイバルを強いられようとしていた・・・。
現代の主人公が父の死をきっかけに双子の妹の存在を知り、その謎を追いかけるミステリーと、彼の祖先である女性の古代から現代に向かうサバイバルが交互に描かれていきます。2つのストーリーは現代で交わり、さらに未来へと別れて遠ざかっていきます。伝奇SFには必須(?)のエロやバイオレンスも過不足なく織り交ぜ、飽きさせません。
人間の新たな進化を新たな視点から見た、得意の科学的ホラも健在ですが、本書の魅力は、アーサー王伝説やローマ帝国興亡史など、ヨーロッパの古代史を全面に押し出し、感情移入できるキャラ達が立っていることで、SFファン以外でもいけそうな感じです。
「これって、ジーリー?」という伏線もあり、以降のシリーズにつながっていきます。
バクスターはいよいよ楽しみな作家となってきました