Destiny's Childrenシリーズ三部作の完結編。古代ローマから現代への人類の進化を描く第1作Coalescent、25万年後のジーリーと人類の死闘を描く第2作Exultantが、本作品で結び付けられます。
　2047年の地球と、50万年後の銀河で神へと進化しようとする人類の姿が交互に描かれ、それが1点で交わったとき、驚くべき人類の進化が姿を現します。
　地球温暖化により海洋生物が絶滅し、マイカーや飛行機による旅行が禁止された2047年の世界が舞台としてリアルに描かれますすが、「地球温暖化はウソ」というマイケル・クライトンの「恐怖の存在」と比べると、考えさせられるものがあります。
　しかし三部作全体としてみると、バクスターが目論んだ構成は、不首尾に終わったように思えます。第1作のCoalescentが歴史伝奇ホラーとして予想外にうまく出来てしまい、後続の2作がそれ以上の完成度を達成できなかったことが原因かもしれません。本作も、構成はCoalescentを踏襲したものの、ホラーとしての緊張感はそれに及ばす、SFとしてもジーリークロニクルとの整合性を保つためか、ガジェット山盛りのバクスター節が見られず、散漫な印象になってしまいました。
　とはいえ、ジーリーのファンならば外伝として押さえてておくべきシリーズではありましょう。なお、Coalescentと「時間的無限大」は、本作でプール一族の物語としで繋がることになります。