認知症学の state of the art
★★★★☆
認知症研究に関与する3人の第一線の研究者が、現在の研究の状況について縦横無尽に語っています。
対談形式で読みやすいですし、executive function についての辛辣な見解など、他の著書では
接することのできない貴重な証言です。
脳の「押しくらまんじゅう」仮説も興味深くて、脳の後半部障害が主なアルツハイマー病と、脳の前半部障害が
主調のピック病(FTLD)の対比などもとても参考になります。
神経心理学から見た認知症の現状をよく示していると思います。
著者たちは神経内科医と精神科医と二つの領域にまたがっていて、それぞれの分野の見方の微妙な相違も
面白いところです。
治療や対応について最後の数ページというのが、ちょっと寂しいですが。