全3部構成の第1部「論理の基礎」では、ゼロベース思考と演繹・帰納による論理展開を解説している。人間の思考がいかに既存の「枠」から抜け出せないかや、実際に「枠」を取り除いた思考がどんなものかを示した事例もあり興味深い。ほかに、「なぜ」を繰り返す重要性や因果関係のプロセスなども取り上げている。第2部「論理の整理」では、ある事柄を重なりなくすべて網羅してまとめる「MECE~モレなくダブリなく~」を解説するほか、それを活用したフレームワーク思考を多数紹介している。バリューチェーン、マーケティングの4P、事業ポートフォリオ(PPM)、バランススコアカード(BSC)という経営のさまざまなフレームワークにおけるMECEの実践が学べる。第3部「アウトプットでの活用」では、これまでのまとめで、ロジックツリーとピラミッド思考を取り上げている。文書作成のルールなど、プレゼンですぐに役立ちそうなノウハウが注目である。
MBAのクリティカルシンキングといえば、洗練された技法を駆使する難解なイメージもあるが、本書の要点が絞られた事例や図解はじつにわかりやすい。MBA的な思考がどんなものかを知るのに最適である。(棚上 勉)