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ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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ニヤニヤが止まらない ★★★★☆
読んでるそばからニヤニヤが止まらなくなりました。
 なぜ世の中に間違った思考や結論がまん延するのか、よくありがちな議論の進め方のどこがダメなのか、これほど明確かつユーモラスに解説してくれる本はそうはないでしょう。筆者がテンポよく「ダメな事例」の解説を進める度に、読者の皆さんは各々に幾多の有名人あるいは身近な人の顔を思い浮かべべて、思わずニンマリしてしまうはずです。
 加えて「定義が不明確な言葉から意味のある結論がでることはない」や「普段から見慣れているものを自然だと感じる傾向がある」など、思わず背筋がシャキッとする決めセリフも満載した、読み応え充分の一冊です。
自己都合の論理。 ★★☆☆☆
簡単に書きすぎいて、わきが甘い。議論はそもそも論理が前提だが、それだけではない。統計や調査などは、データの切り口いかんでいくらでも変わるし、「自分に都合のいい解釈」を主張しようと思えばいかようにもできる。逆に切り口によって、「自分に都合悪い解釈」は退けようとすることもできる。また「自分に都合の悪い解釈」を再解釈してすることもできる。しかも論理は「詭弁」に陥ることもしばしばある。そこにもってきて、時間軸にして思考の前に無意識に現れる「印象」は後の思考にも影響する。人は「印象論」を避けることはできないことは書いていない。なのに「コールドリーディング」だけは出してくるのはイマイチ。また、著者は「ゼロベース思考」と訳知りに言うが、客観的な「ゼロベース」などそもそも可能なのか?「ゼロベース」とは一体何なのか?全く不明だ。どうも「白-黒二元論」に陥っている。大体経済学出身なのに、世界の9割は「グレーゾーン」だということが分かっていないようだ。それで結局『ダメな議論』自体が、「詭弁」「説得術」化してしまってる感がある。まぁ「論理学」を扱おうと思うと、新書ではエッセンス程度しか書けないのでかなり無理があるが。
、「まったくダメな」議論を粗くふるいわけるというより、厳密で正しそうな議論を見つける(そして、いいかもしれないが証明できない多くの議論を捨ててしまう)細かい網目 ★★★☆☆
社会経済問題の原因を分析する解説型の言説に関して、「誤ったもの」「無用なもの」「有害なもの」を機械的な方法で見抜こうという試み。議論のコストと採算に関する技術書。

言説は大量に氾濫していて、「正しく、有用なもの」を見つける手続きはむずかしいので、どの主張を支持するか自分の頭で考えることは非常に手間がかかる。しかし、はじめから「ダメな議論」を除いてしまえば、この手間は格段に減らせる。つまり、議論のコストと採算に関する技術書である。

では、その技術とはどんなことか、というと、5つのチェックポイントでダメな議論を見抜こうというもの。

1.定義の誤解・失敗はないか。
2.無内容または反証不可能な言説。
3.難解な議論の不安定な結論。
4.単純なデータ観察で否定されないか。
5.比喩と例話に支えられた主張。

まず、「常識」はなんとなく信じられているだけで、根拠のない場合が多いから注意して、自分で考えよう、という主張には賛成できる。

しかし、チェックポイントそのものは、非常に役に立つ場合と、ほとんど言いがかりではないかという場合とがあって、必ずしも採用できない。

まず、1の用語の定義だが、一般に認められテいる用語の定義を誤用している場合は「ダメな議論」といえるだろう。しかし、定義があいまいな用語を議論の根拠にしてはいけないとなると、たとえば正義や愛や青春については、何も語れなくなってしまう。いや、「いす」のような具体的な用語も車の座席やオットマンのような境界領域がある。残るのは厳密に定義された学術用語だけである。議論を通じて用語の定義を明確化していく、ということが多いのではないか。

2に関しては、たとえば、もっと公共事業をしないと景気が停滞するぞ、といった予想ないしは提案のことだ。景気がよくなれば公共事業が十分だったと言うし、悪くなれば不十分だったということになるので、常に当たる予言だ。しかし、これも将来に対する提案であれば、このような形式をとらざるを得ない場合がある。たしかに、その部分だけ取り出してみれば無内容だが、根拠になるべきところが他で示されていれば、それでいいのではないか。

3の難解な議論うんぬん、というのはレトリックとして気をつけたほうがいいのは間違いない。難解でなくても、何々博士の研究によれば式のいんちき薬の宣伝と同じたぐいだ。要はそのデータなり理論なりを援用した根拠が示せればいいのだ。何の批判も説明もなく唐突に理論が出てくれば、単なるこけおどしの可能性大である。

4のデータ観察による否定は重要だ。おそらく、この本のチェックポイントなのかでは最重要だろう。というのは、他のポイントは「根拠にならない」というだけで「誤っている」と判定できないが、データ観察によって否定されれば確実に誤りだと判定できるから。たとえば、「凶悪少年犯罪の増加をとめるには、刑法適用年齢をさげろ」などという議論は、少年犯罪が激減していることをデータで示せば、無意味だということがすぐにわかる。

5の比喩と例話が根拠にならないことはあたりまえだ。3と同じでレトリックの問題。ただし、例があるということは「必ずしも間違いではない」ということだ。いかにも間違っていそうな説に対して、ひとつ例をあげて可能性を示すことはありうる。

つまり、結論がダメな議論を見つけるのではなく、議論のその部分には論証手続きがない、というふるいのようだ。確かに科学の論文では、すべての主張について論証が求められる。しかし、一般的な政治や社会に関する議論では、仮説のまま意見を述べることがしばしばある。食料の分配が不公平だったから暴動が起きた、などという場合、では公平に分配していたらどうだったは確かめようがない。

データによる否定と、定義の間違い以外は、「まったくダメな」議論を粗くふるいわけるより、かなり厳密で正しそうな議論を見つける(そして、いいかもしれないが証明できない多くの議論を捨ててしまう)細かい網目のように思えるのだが。


経済論戦におけるダメな議論の本 ★★★★☆
タイトルを「ダメな議論」ではなく「経済論戦におけるダメな議論」と
すべきだったのではないのだろうか。

本書自体が、著者が述べる「定義の誤解」を生じさせている。

著者自身が「おわりに」で述べているとおり、
本書のセールスポイントは、社会・経済問題に的を絞った議論の消化法。
ところが「ダメな議論」全般の本だと思い込んでいる読んでいる自分がいる。
読み進めるうちに、そのギャップが拡がり独特の違和感を覚えることになる。

「おわりに」まで読み進めれば「社会・経済問題に的を絞った本」だと
わかるようになっていたが、途中で挫折した読者も多いのではなかろうか。

本のタイトルは出版社が付けたものであろうし仕方がない面もあるが、
誤解を受けるようであればもったいない。
多面的なものの見方を学ぶ ★★★★☆
 本書前半では、論理的な検討に耐えうる議論とそうでない議論を、5つのチェックポイントを使ってほぼ機械的に判定しようとしています。この発想は、「正しそうだ」から「怪しそうだ」までの目安を得るための簡便法として、自分が詳しくない議題においても使うことができるので、とても便利な考え方だと思いました。

 本書後半では、著者が練った、社説や論説でいかにも登場しそうな11編もの評論文を元に、チェックポイントの具体的な使い方を示していきます。この部分には、経済学者としての著者自身の主張が色濃く反映されているため、読者自身の主義や主張によっては、かなり抵抗を感じるでしょう。

 しかしながら、私は後半部分にこそ本書の真骨頂を感じました。私は(特に食糧自給率について)著者の主張と相容れない考えを持つのですが、著者の論理的で柔軟な視点に触れ、「こういう見方もあり得るのか」と刺激を受けました。他者の視点や思考基盤を知ることは、議論を行なう上でとても大切なことだからです。

 本書の目的は、検討に値する議論を見つける簡便法を解説することですから、その目的は十分に達成されていると思います。加えて、一人の経済学者が多数のありがちな論説をメッタ切りにして、その結果を平易な文章で読むことができる、刺激的な一冊だと思います。正しいか誤りかはひとまず棚に上げて、著者の思考の流れを味わいましょう。