最初から衝撃
★★★★★
コロンブスと言えば誰もが知っている人物
教科書では英雄のように取り扱われているが…
裏アメリカ史は一握りの金持ちと多数の貧しい者達という関係が昔から変わらず現在まで形を残している事を実感させられた。
黒人差別もイギリスからの独立の理由も貧しい者達の反乱を恐れての事もあったということに驚きだった。
アメリカを裏側から見られる一冊
★★★☆☆
アメリカの黒人、インディアンらの視点から白人の資本家・権力者らに翻弄された歴史を描いた本。
アメリカ自体がイギリスからの搾取を乗り越えて建国されているが、そのアメリカ国内でも同様の構図が白人と
主に黒人・インディアンの間で行われていたことが良くわかる。
現代の道徳観だけで見てしまうと、それはそれでズレが生じる気がするが、少なくとも“自由の国アメリカ”とは
かけ離れている。
とはいえ、逆に言えば、ネイティブアメリカンも、黒人も、そして白人もこうした歴史を経てきたからこそ、自分らの
権利を守るために現在でも熱心に行動しているようにも感じ、比較的穏便に江戸幕府から明治政府への革命が起きた
日本とは対照的に感じる。
その一方で、現在のアメリカが他国への干渉・介入を頻繁に行う理由が国家の利益や一部の資産家の利益のために
少なからず動いていることが本書を通じて歴史的に感じ取れる。
アメリカを裏側から見られる一冊といえるだろう。
巨星墜つ! 追悼 ハワードジンさん
★★★★★
本書を読み終えてその感動もさめないうちに、原書を著したハワードジンさんの訃報に接しました(享年87歳)。これまで日本でほとんど紹介されてくることのなかった情報がわかり易く解説されていることに感銘を受けました。また若い世代が手に取りやすいような本書として出版されたことの意義の深さを改めて感じました。ジンさんに感謝してご冥福を祈りたいと思います。
批判的観点からのアメリカ史
★★★★☆
ラディカルな批判的な観点からの、アメリカの歴史。
コロンブスの到達から、独立戦争、南北戦争などを、そのベールをはぎとり、生々しい実態を暴き、さらけ出す。なかなか衝撃的なものも多い。左派的というか進歩的な立場からの容赦ない筆によるものである。
素朴なナショナリズムから距離を置き、醒めた目で描かれるアメリカの歴史である。本書をそのまま鵜呑みにしてしまうのも問題があるが、一度知的な刺激を浴びてみるのも、歴史を見つめる正しい姿勢を目指す上で悪くはあるまい。
目からウロコの、とっても面白いアメリカ史の本を見つけた!
★★★★★
簡単に手早くアメリカ史のことがわかる本があれば、とずっと思っていたが、やっと見つけた。それも、猿谷要さんでもチョムスキーさんでもなく、あの分厚くて難しい本しか邦訳されていなかったハワード・ジンさんのものだ。
スピード感のある物語風で(歴史書なのに!)、上下巻を一日で一気読み! えーっ、アメリカってそういう国だったのか、そういう考え方もあるのか、と読みやめられなくなった。たとえば、インディアンや黒人の話。彼らへの迫害は見知っているつもりだったが、迫害されている側からの見方を示されて、胸がチクチク痛んだ。日本人も彼らの仲間、いわゆる「有色人種」なのだから。
それに、この本のすごいところは、学校では教えてくれない(大学入試に出ないから?)戦後アメリカのことが、易しい言葉で丁寧に書かれている点。どの大統領とどの戦争がどんなふうにつながり、今のオバマ政権が出来たのかがよくわかる。
今の日本は、無意識に「アメリカは世界で一番よい国だ」と洗脳されている気味があるから、この本のような見方はとても大切だと感じた。また、中・高校生も読めるように、ルビや注釈もあり、とても良心的。できれば、歴史書コーナーではなく、普通の新刊書や翻訳本のコーナーに置いてもらいたい。