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平成三十年〈上〉 何もしなかった日本

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞社
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:堺屋太一/著 出版社名:朝日新聞出版 発行年月:2002年07月 関連キーワード:ヘイセイ サンジユウネン 1 ナニ モ シナカツタ ニホン へいせい さんじゆうねん 1 なに も しなかつた にほん、 アサヒシンブンシユツパン 0042 あさひしんぶんしゆつぱん 0042、 アサヒシンブンシユツパン 0042 あさひしんぶんしゆつぱん 0042 日本はまだ変わっていなかった…衰亡か変革か未来への警告と提言の書、ここに登場。ここには10のビジネスモデルが登場する。インフレと不況、高齢化と高失業、貿易収支大幅赤字…。緻密な予測で描く近未来小説、朝日新聞朝刊連載を大幅加筆して単行本化実現。
官僚機構の構造と問題点を浮き彫りにする名著 ★★★★★
元通産官僚・国務大臣という経歴の著者が書く「予測小説」です。
行政・政治の一線で働いた筆者の経験を活かし、平成三十年という遠くない未来を予想し、それを舞台に繰り広げられる行政改革を描きます。

上巻では通産官僚・木下和夫の視点から平成三十年の日本の問題点が描かれます。
医療介護・財政赤字・貿易不振・物価高騰・減反問題など、多くは今問題になっている(なりつつある)事柄です。
そしてこうした問題の根源として、行政による過度な規制によって競争力を失った日本産業の姿が浮かび上がります。
またさすがに元官僚だけあってところどころに霞ヶ関の実情を伺わせる表現もありニヤリとさせられます。

下巻では規制撤廃を推し進める過激な改革者として織田大臣が登場します。
木下もその側近扱いとなって改革に従事しますが、官僚機構に阻まれ様々な妨害にあいます。
その中で「行政改革」の必要性は認知されながらなぜ改革が進まないか、その原因が浮き彫りとなってきます。
なお少しネタバレになりますが、結末はやや尻切れトンボな終わり方になっています。

予測小説という特殊なジャンルであるため人物描写等は省略されている部分もあり、あまり細かな心理の機微などは描かれていません。
また政治経済社会の知識がある程度必要になる部分もあり、説明的な表現が続く事もあります。
とはいえ、共感を得られやすい「平凡でやや受身」な主人公の視点を通して描かれる事で、肩肘張らずに気軽に楽しめる内容となっています。

この小説が世に出たのが平成九年とかなり昔ですが、その予想精度はかなり高いと言えます。
細かい予想は外れている部分もありますが、産業が衰退し生活も不便になり国全体の活気がなくなるという大まかな予想は残念ながら実現しそうです。
そして一番重要な予想は、行政改革の必要性が叫ばれながらも結局は焼け太りに終わるだろうという事柄です。
実際に過去何度も「行政改革」が提言されましたが、官僚達によってなし崩しにされる事が繰り返され、業界の規制と役人の権限は年々増しています。

しかしここで無理解な役人叩きをして欲しくはありません。
マスコミを始め、行政(特にキャリア官僚)は批判を受けやすい立場にあります。
しかし官僚の実態を知り、その問題点を的確に指摘した声はほとんど聞こえません。
多くの人は市役所窓口職員の態度や一部の不祥事といった断片的情報だけで批判していないでしょうか?

私は多くの官僚達は優秀であり、日本を良くしたい気持ちも持っていると信じています。
しかし個々人の資質とは無関係に改革を阻む構造的欠陥が官僚機構には存在し、それこそが真の問題点だと考えています。

長くなりましたが、官僚機構の構造と問題点を浮き彫りにする名著だと思います。
予想が当たっている? ★★★★★
この本が、最初に朝日新聞に掲載されたのが平成7-8年ごろです。その後、12年経って改めて読み直すと、恐ろしいほど実現しています。平成30年まであと10年、改めて読む価値があると思います。
「堺屋・近未来三部作」の中核として勧めたい。 ★★★★★
アマゾンの「堺屋氏・売れ行きランキング」でみても、この本は上位にランクされていないのが不思議なくらい良い本だ。

想うに2002年の刊行で、古くなったとでも言うのか。そんなことはない。
次の戌年の頃の日本の背景を、こんなにも分かりやすく、かつエキサイティングに描いている本はない。

たとえば「中山間地域で過疎化が進む、過疎になるから仕事もなくなる」の項では、全国どこでも社会資本の維持管理は問題だと指摘する。

今や(この2018年の頃)公共事業費の9割は、20世紀に造った道路や建物の維持管理費で消えている。多くの過疎地で持ちきれないとして、スーパー林道も公民館も、竹下さんからもらった一億円で作った温泉施設も、廃業にしてくれと「廃業陳情」が、霞ヶ関に続く…とある。

来るべき平成三十年(2018)には自分はいくつになるのか、息子は?娘は?と、自分自身のバックグラウンドを描いてみるに最適な本だ。

1980年刊の名著『団塊の世代』と、昨2005年刊の『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』と併せて、「堺屋・近未来三部作」として読むことを勧めたい。
現実との乖離が大きくなってきている ★★★☆☆
何もせずに平成三十年を迎えた最悪のパターンを予想した小説だが、現実は小説以上に小説らしい展開を見せている。石油価格高騰で技術競争に負けニッポン自動車(トヨタ)が赤字になるとあるが、現実では技術で圧倒し過去最高益を出した。つまり石油価格高騰は日本自動車業界の味方である事が判明している。自動車業界外資化の話も出るが、完全に外れており、FMM(マツダ)、東京アジア工業(三菱自動車)は日系企業に返り咲いた。その後の世界恐慌も全く予想されておらず、小説と現実の出来事の乖離が大きくなってきている。政治の話も完全に外れた。何も起こらず自民のまま無風が30年続くと予想しているが、現実には大嵐が吹き荒れている。小説みたいな存在の小泉の登場も予想されていないし、政権交代も全く予想されていない。今の時点では少子化位しか当たっていない状況。
未来学としては秀逸、小説としてはいまいち ★★★★☆
官僚主導の日本の行政による閉塞感の継続をベースとして、円安や資源危機が重なると、日本経済・社会がどのように変化するかのシミュレーションとしては非常に生々しい。すべてがこの小説のとおりにはならないにしても、ひとつひとつの要素は十分に起こりうることから、もう少し我々も危機感をもって現在と将来をどう生きるかを考えるべきかも、と感じた。啓蒙的な本ではあるが、登場人物を無理やり戦国武将になぞらえていることが、読みものとしては不自然で減点ポイント。ただいろんな視点で歴史・現在の環境・今後の日本を考える機会を与えてくれる良書だと思う。