必読入門書
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最新の発掘資料を踏まえた諸子百家の概要を知るには最良です。今までの入門書は書き手の立場(儒教派が多いです)にそってしまい、諸子への公平さがややもすれば欠けていたりするものが多いのですが、これはそんなことはありません。経営書的に「孫子」が読まれたりもしていないです。とくに、最終章で研究旅行記での、孔子の子孫(自称?)や孫子の子孫(自称?)と遭遇した話はとても面白かったです。とりわけ孫子の子孫が遠くを見るようにあの暗黒の「文化大革命」(毛沢東が覇権奪回を目指した権力闘争)の日々を思うシーンは数行にもかかわらず、この本の心を感じさせるものでした。本来、入門書こそ良書であるべきだということを思い出させるものでした。
現代によみがえる中国古代思想
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諸子百家の思想をコンパクトにまとめた本です。
思想だけをまとめただけではなく、最近の発掘から出てきた竹簡など新たな資料から現代と当時の文献の相違や、文献が現代の形になるまでの過程を考証したりしています。
また映画などから思想に関する部分を引用して解説したりしています。
また諸子百家のみならず、発掘から出てきた資料からわかる当時の政治や思想のあり方の解説もあります。
これはとても面白いと感じました。
諸子百家の思想の解説にしてもとてもわかりやすくまとめられていると思います。
なので、諸子百家の思想について一通り知っている人でも新鮮に読めるとおもいます。
その反面、本がちょっとばかり厚くなってしまっていますが、興味があるなら読めるでしょう。
中国思想史入門+お気楽中国旅行記?!!!
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本書は大阪大学教授であり、中国文学を専門とする著者が
諸子百家と称される春秋・戦国時代の思想家の思想を
90年代に新たに発掘された文書も参照にして
コンパクトに紹介する著作です。
諸子百家と称される思想家たちの思想が
読みやすい文章でコンパクトに紹介された本というのは
そこそこあるのですが
「矛盾」や「守株」といったおなじみの故事成語が
儒教に対する批判という文脈の中で用いられた−ということまで
ちゃんと書いてある本はあまりないので
なにより、その点がとても嬉しく感じました。
また、各思想家相互の関係もまとまっており
孔子と孟子はもちろん、老子と荘子
など違いをキチンと認識していない事柄についても
一読しただけで理解できるようになっており
その点も、大変ありがたい著作。
個人的に、興味深かったのは孫子に関する記述。
『中国古代軍事思想史の研究』というマニアックな著作のある筆者だけに
イメージを先行で考えていた孫子の思想について、
孫武と孫濱の違いなども簡潔に理解することができました☆
終章の『諸子百家の旅』(←お気楽中国旅行記)は
いかがなものか?とも思いますが
全体として、とても楽しく読むことができた著作
多くの人に読んでいただきたい著作ですが
中・高校生でも十分に読める内容なので
古文の勉強の参考にしていただければと思います☆