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瘠我慢の精神 福沢諭吉「丁丑公論」「瘠我慢の説」を読む (朝日文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 朝日新聞出版
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今は亡き碩学両名による共同セミナーの記録 ★★★★★
福澤の「丁丑公論」と「瘠我慢の説」の各々について、萩原氏が含蓄に富んだ前置き(但し、病気のため藤田氏が原稿を代読)を披瀝した後、藤田氏によるテキストの読解へと進むという構成。精密なテキスト・リーディングから福澤の真意が立ち現れてくる様は、正に思想史の醍醐味といってよい。(原テキストも収録されており、この点でもお買い得。)

個人的には、特に(1)「立国は私なり、公に非ざるなり」との有名な一文の解釈について、福澤におけるインターナショナリズムとナショナリズムの葛藤として読み解いた箇所(80頁)や(2)「瘠我慢」をノーブレス・オブリージと関連づけた部分(85頁)、(3)慶応3(1867)年に大阪城で徳川慶喜に「一目惚れ」した英国公使パークスの姿を見て、西郷隆盛に「革命をやるならいまが時機だ、いまをのがせば、革命の機はもう来ないかもしれない」と囁いたサトウの言動(91頁)、(4)パラドックスの自覚による「惑溺」からの脱却を指摘した一文(97頁)などが印象に残った。(公概念といい私概念といい、その含意は時と所によって入れ替わる両義的・段階的なものであるとの認識把握が、福澤思想を理解する上でのまずもっての鍵概念の一つであろう。)

なお、福澤と榎本における人間関係の「あや」については、山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』所収の「その後の叛将・榎本武揚」が面白い。