そんなひどい連中の中にあって、カーディ少年のひたむきさ・誠実さがひときわ輝きを放っています。
私たちが考えている以上に、子どもはちゃんと世の中を分かっているんですよね、いい人や美しいものばかりあるわけではないということを。マクドナルドはそこを踏まえた上で「人生でいちばん大切なものは・・。」と語りかけているように思います。
物語の内容を考えると全体のトーンは暗いはずなのに、どんな状況であってもどことなくユーモアを感じさせるマクドナルドの見事な筆致によって、暗さは感じられません。
どうにも納得しかねる結末も現代社会への警告とも受け取れるし、だからこそ、このお話は終わってなどいなくて、そのまま現在のこの世界へとつながっている-そんな気持ちにもなります。かえって割り切れないラストだからこそ、読み終えた後もあとからあとからイメージが湧いてきて、なんとも不思議な物語です。