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現代の精神分析 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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にっぽん精神分析家戦国史 ★★★★★
その昔精神分析の学徒たらんと志したものには、憧れの慶應の小此木先生のご著書である。
フロイト、そしてフロイト以後の、精神分析の発展、変遷、紆余曲折史を
「エリクソン。クライン、ラカンは無視してウィニコットへ」という順で概説するいわば定本である。

この本の白眉は、専門家でもなければ、いや医学図書館でもなければ蔵書しないであろう
岩崎学術出版社の『精神分析辞典』から、抜粋した、日本の精神分析家の活躍年表が付いている点である。
ここでも引用する。
1950年代  古澤平作
       《日本精神分析学会》
        懸田克躬 山村道雄
          土井健郎
          西園昌久
          前田重治
          小此木啓吾
       《日本精神分析協会》
1960年代 《学会紛争》
       小倉清 馬場禮子
1970年代 岩崎徹也 鑪幹八郎
       高橋哲郎 馬場謙一
       神田橋篠治 斉藤久美子
       牛島定信 乾吉佑
1980年代    ↓
          ↓
       相田信男 成田善弘
       狩野力八郎 北山修
1990年代 皆川邦直 丸田俊彦
       衣笠隆幸 松木邦裕
       藤山直樹 岡野憲一郎
       妙木浩之 ほか

あの大物の名前はなくて良いのだろうか、あの人は精神分析史の中でも重要な人物だったのか等
色々な発見が在って、見れば見るほど飽きない表である。
       
充実した内容の解説書 ★★★★☆
 フロイト以降の精神分析学は様々な流派に別れ、門外漢には現代はどのような状況なのか分かり難いですが、本書はフロイトの時代とフロイト以降に大きな流れを成す対象関係論や自我心理学について概要を解説しており大変参考になりました。単に多くの理論を紹介するだけなく、フロイトが解き明かした理論との関連性をまとめており、精神分析学発展の系譜を分かり易く教えてくれます。内容は大変豊富であり、満足できる一冊だと思います。但し、専門用語で埋め尽くされていてアカデミックなので、初心者向きではないと思います。精神分析学に興味があり、何冊が基礎的な本を読んだ一般人や心理学科の初学年に最適な著書のように思います。
劣悪な文章 ★☆☆☆☆
著者は、「まえがき」の冒頭に於いてつぎのように述べている。

いまやわが国にも、精神分析の新しい動向を伝える著作・役所が次々に刊行され、欧米の国際交流も活発化し、情報豊富な時代が到来している。しかし、それだけに必要なのは、情報化されたそれぞれの理論・学説を、一定の脈絡と全体の流れの中に適切に位置づける作業である。
本書は、この要請に応える役割を担っている。この役割に関する限り、読者各位が国際的にも日本的にも、本書を最も信頼に値する著作とみなして間違いはない。その意味での座右の書にふさわしいものをわが国の読者の手に、と念願してわたしはこの学術文庫を刊行する。

大変な自信であるが、こうしたことばをまえにするとき、読者は期待と不安を経験するものである。

具体的には、それはつぎのようなものである:

1. 期待:著者のことばどおり、作品は非常にすぐれたものなのではないか……
2. 不安:著者のことばは自信過剰の所産にすぎず、実際には、作品は劣悪なものなのではないか……

この作品については、残念ながら、後者が該当する。

作品の内容そのものについて云々するまえに、何よりも文章が劣悪である。

日本に於いては、基本的に、文章力を鍛錬する教育が実施されていないわけだが、その悪影響を最も端的に体現しているのが、こうした研究者であることをあらためて実感させる作品である。

多くの大学院等に於いては、この書籍が必読書として義務づけられているそうだが、それはあまりにも残酷なことだと思う。

こうした解読不可能の文章を忍耐強く読むことが心理学者としての専門的なトレイニングのひとつとして位置づけられているとすれば、それはあまりにも理不尽なことである。

同様の内容であれば、下記の作品が非常にすぐれている。

Stephen A. Mitchell (1996). Freud and Beyond: A History of Modern Psychoanalytic Thought. Basic Books.


こうした作品を読めば、上記の著者の自信にあふれたことが全くの妄言にすぎないことが実感されるであろう。
系譜 ★★★★★
フロイト→フロイトの直弟子→自我心理学と対象関係論、という流れの中で精神分析の理論の変遷をまとめている。

精神分析は良くも悪くもフロイトから端を発しており、それを乗り越えようとして発展してきたところがある。世間で言われているように、現代の精神分析家はフロイトの理論を盲信したり、崇めているのではなく、逆に、その理論を修正し、より精度が高く、より臨床的に使えるものにして行こうという絶え間ない努力がなされている。

精神分析を学ぶ上で、フロイトの古典を読むことを出発点とされることが多い。しかし、それはフロイトの理論を批判なく取り入れることを目的としているのではなく、フロイトがどのように思考し、臨床をし、どのように変遷していったのかを読み取ることを目的としている。そこで自分自身がフロイトと問答し、格闘し、自分や自分の臨床を見つめなおす一つの機会としているのである。

フロイト以後の精神分析家はそのような道程を経て、あらたな精神分析の理論を作りあげていっているのである。その道程の中で、この本に紹介されているような対象関係論や自我心理学ができていっている。また、ここではあまり紹介されていないが、対人関係論や自己心理学、ラカン派といったところも同様である。

フロイトも「自分の理論を信じろ」とは言っておらず、「精神分析は方法論であって、そこから自分の理論を作れ」と言っているようである。精神分析はそれ単体で完結した理論ではなく、人間という現象や有機体を知っていくための道具の一つであると思う。そして、それは日々更新されていくものである。

この本はそのようなプロセスを歩んでいくための案内図と言えるかもしれない。
もう少し ★★★★★
フロイトが精神分析を創始してほぼ100年ぐらいが経過して
いる。その間、歴史や文化もかなり変化してきており、それにと
もなって精神分析も変遷をとげている。当初はヒステリーの治療
技法・理解枠組みとして発達してきたが、時代が下るにつれ、パ
ーソナリティの病理や精神病水準の病理を扱うようになってきて
いる。その中で、エディプス水準よりも低い発達レベルの研究が
進んできている。

このような歴史的背景から、現代における精神分析のトピック
について様々な観点から論じられている。家族の問題・発達の問
題・性の問題・心理学の問題etc。多少なりとも精神分析の知識を
もっていないと分かりにくい箇所はあるが、最新の精神分析研究
(といっても1998年のものだが)が網羅されていると思う。

少し欲を言えば、昨今の問題である、PTSDや児童虐待、暴
力、学校臨床、発達障害などのトピックがあれば面白かったので
はないかと思う。