私が印象に残った内容なんですが、鎌田医師は病院での治療が必須と考えられる
患者さん以外には在宅での治療を積極的に勧めています。実際、訪問看護や往診
にかかる人手や手間を考えると家族も病院も決して「楽」ではないです。しかし、
その患者さんがケアされている中で、入院での加療を続けるよりも精神的な健康
さから在宅治療での回復力の増大化、また、残念ながら他界されてしまう方も非
常に幸福な死を迎えることができています。その具体的事例は本の中に紹介され
ています。
キーワードとして「治す医療」と「支える医療」を分けて医師として
患者に貢献する必要があるということを鎌田医師は強調しています。
「治す医療」はまさに必要な手術・投薬などを積極的に行う。「支える医療」は
患者の治癒能力を環境・医術面で後押しを行う。患者の状態、治癒の進捗状態に
応じて必要な組合せを行うことで、患者の回復状態に大きな差が出てくるという
ことなのです。加えて、完治が望めない病の場合にもどのように「病とうまくやっ
ていくか」「満足した余生をすごせるか」を病院と言う組織でどのようにサポー
トしていくべきか、といった考えが述べられています。まさにいま諏訪中央病院
ではその実践が試みとして行われているということのようです。
先日も医者の友人と話し合いましたが、彼も医者として一生懸命頑張りつつも
「国の医療制度」「病院の経営方針」「患者の医療を利用する態度」色々に不満
を持ちつつも、日々の医療に獅子奮迅しているようでした。総論としては、この
本を読んだからと行って諏訪中央病院にお世話になろう、とはすぐにはできない
話ですが、(長野に引っ越さなくてはいけないので)こんな風に頑張ってるお医
者さんがいて、その努力が少しずつ広がっていくといいな、と思えたのはそれこ
そ心の健康に役立ちました。
頑張ってるお医者さん、万歳!
鎌田先生の勤める「諏訪中央病院」のやっていることを読めば読むほど、日本の病院のほとんどがこういう病院になってくれれば・・・と願わずにはいられない。患者の患部だけではなく、全身、患者の家族や退院して帰っていく地域までも考えてくれる医師こういうのがあたりまえになってくれる日はいったいいつなんだろう。
助かる見込みがない患者を投げ出し、病院から追い出すことばかりを考えている病院。「命は最後まで大切に扱われるべきです」という「当たり前」の言葉がちゃんと実行される病院が増えて欲しいと心から思う。
「良医にめぐりあうための10箇条」もためになったが「ばんばらない介護生活 5つのポイント」は介護で消耗しきってしまわないためにとてもためになる。