言葉を大切に。
★★★★☆
「がんばらないけどあきらめない」という生き方を
教えてもらい大好きになった鎌田先生の本。
医学は人間を相手にする科学であるために、単なる
科学とは異なり、配慮や言葉がとても大切であること。
そして、医療サービスに限らず、今自分は言葉を大切に、
丁寧に使っているかを深く考えさせられる内容になって
います。
本書の中でも述べられていますが、それでも
「病は本人が治す」ことが、もう少し一般的にも
広がると良いなと思います。医療に頼りすぎる結果
としての医療崩壊や国家崩壊を防ぐために。(但し、
これもがんの末期や介護に奮闘中の家族など、あまり
余裕が無い状況では言えないことだとは思いますが)
医療は恐らく弱い社会資本です。元気なうちに、
自分の健康は自分で守るという生活スタイルに取り組み
本当に必要な時や人に、医療が上手く届き利用できる
社会になることを祈ります。
医療サービスに携わる人には、初心を忘れないため
にも、参考になる事が多く書かれておりおすすめです。
「言葉で治療する」のは本当だ。
★★★★★
医療者によって「傷ついた言葉」にも「励まされた言葉」にもなる。
「そろそろ治療をやめますか」「頑固だから、がんになるんだ」冗談ではない。
「でも大丈夫ですよ」「大丈夫、直りますよ」と優しく励ます言葉が大切。
「聞く」ことが医療現場でも、教育現場でも、家庭でも、職場でも大事。
ナラティブセラピー(自らのことを物語ることによって、自らを癒す治療法)=「話す」治療法。
更には、患者への説明の場合、「安心」させる目つき、顔つき、声の色…これも治療者側の心得なければならない条件であることは、言うまでもない。苦虫をかみつぶしたような顔つきでどうするか。
「時に癒し、しばしば慰め、そして常に励ます」それには言葉が大切。
言葉だけでは治療できないが、間違いなく、言葉は治療の大切な武器となる。
言葉を上手に使い、「がん難民」をもっと減らさなければならない。
業種は違っても自分を見つめなおさせる内容でとても良い本です。
★★★★★
僕も業種は違いますが、どんな職業でも通用するないようだと思います。相手の気持ちを考えること、殺伐とした世の中の中で僕らが取り戻さなければいけない、気づかなければいけないと思わせてくれる本でした。
医療は誰のための仕事なのか−職業と社会の関係を再構築するための一書−
★★★★★
近年、医療に携わってきた側からの医療現場の在り方を問い直す書物が数多く目に着くようになったきた。とりわけても身近な人を病気で喪ったことを通じて自らが従事してきた仕事の意味をとらえなおそうとの“悔悟”にも似た姿勢からの問い掛けが多い。
そうした中にあって、この本は長年に渡り実際の医療現場で患者と接してきた医師によって書かれた書物である。
セカンド・オピニオンを求めようとして担当医に拒絶された患者、求めもしないのに余命宣告されてしまった患者の心の動揺などは経験していない人の目にはまるで別世界の問題と映るかもしれない。“患者”は心を串刺しにされてしまった人を意味し、医療はそうした人々に手当を施す行為である。そして“手当”はそうした患者の身体と心に直接触れることでなされるのが本来の姿であろう。同じ病名と段階であっても患者一人一人がおかれた立場によって治療の方針は異なる。けれど現在の医療ではそうした部分が等閑にされているとの危機感からこの本が書かれたことは確かである。医療の現場での主役、それは飽くまでも患者であるべきはずだがいつの間にかその原則は何処かに置き忘れられ、治療を施す側が主導権を握る。いつの間にか主客転倒となり医療現場は崩壊してしまった。無論そうしたモンスター・ピアレント的な医師が全国の医師全てではないことも事実であり、心ある医師達は患者の実情を心身共に受け止めて真摯な医療を心掛けていることも確かである。けれどこうした医師が抱える患者の数にも限りがあり、何時しか医師自身が病に倒れることも懸念される。
技術は進歩したけれどそれを支えるべき物の考え方を何処かに置き忘れてしまっていることは最早医療の現場にまで及んでしまっている。本書はあらゆる職業に就く人にも自らの問題として読んで欲しい本である、自らが携わる職業が誰のために役に立つのかを再考するためにも。
やさしい気持ちになります^^
★★★★★
鎌田先生の「人」としての優しさが伝わってきます。
自然と涙が出てきます。
読みやすい文章ですらすら読むことができました。