適切な入門書
★★★★☆
親鸞の生涯と教説に関する要点解説ハンドブックです。
各項目とも要領良くまとまっていますが、
全体の関連性は弱く、体系的ではありません。
興味を持った項目を調べてみるきっかけにはなると思います。
親鸞入門書として、レベルは高く、中級以上でしょう。
ただし、念仏を報恩報謝としているのは誤りです。
親鸞説では、報恩は「自信教人信」です。
仏の恩に報いるには、「自ら信じ、人をして信ぜしむ」で、
仏の教えを人に教えて信じさせることです。
また、法然が念仏を選択したというのも誤りです。
念仏を選択したのは阿弥陀仏です。
法然が選定したのは「浄土三部経」です。
参考文献として、吉本隆明『最後の親鸞』『増補・最後の親鸞』を挙げてあるのは、
この種の本としてはめずらしいと思いました。