印象の壁
★★★☆☆
読むのに買ってから4ヶ月?かかりました。いや、積んでおいたので、読み出してからは早かったですが……
自己分析をすると、セ・ネドラが「ベルガリアード物語」の頃に比べて、あまりアクティブに動かなくなったので、とっかかれなかったのではないかと思われます(笑)。あと、ザンドラマスが小物すぎてなぁ。
それと、パーティの人数が12人ってのは、ちょっと多すぎるような気がします。
新城カズマ氏が「ライトノベル超入門」で登場人物9人に「印象の壁」があると言っておりましたが(7+2が短期記憶の限界らしい)、それを3人も超過しているしなぁ……。
でも、12人がそれぞれ個性的で、印象が無いと言うことはないし、会話は面白いんですけどね。やはり一人一人の露出は減ってしまうのは否めない(巨人タフとか、エリオンドとか、ほとんど場面に出てこないですし)。
でも、読み始めると面白かった。次の最終巻には早々に取りかかるつもりです。
明かされる予言と集う役者達
★★★★★
ザンドラマスの足跡を追ってメルセネに向かったガリオン達一行は、メルセネ大学で偏屈な錬金術師の元にあるアシャバの神託の写しを目にすることになる。しかし、そこにはトラクからの驚くべきメッセージが記されていた。メッセージのショックを抱きつつも一行は再びマロリー皇帝ザカーズの軍に捕獲されてしまう。だが、その一方で”新たな声”の存在が仄めかされ、一行に新たなメンバーが加わることになる。
本編の展開はシリアスで重いが、それでもユーモアを失わないのがエディングスの流儀である。特にちょっとした脇役達もキャラが立ち、脇役達とのやり取りによってさらにレギュラー陣のキャラクターが引き立つというのはもはや感心するしかない。錬金術師センジとベルガラスやベルディン、オトラス大公の奥方とベルディン、そして本書の中での屈指の名場面が高僧アガチャクとタール王ナセルのやり取りであろう。ある種の衝動を抑えつつ必死でナセルを説得するアガチャクの姿は必見である。それ以外にも、ケルダー王子ことシルクの凄腕振り、ダーニクの意外な一面などレギュラー陣の様々な表情がそれぞれの地域と共に楽しめる。まさに出来の良い長編ならではの楽しみがここにある。
このシリーズも残すところあと一冊。来月の完結が楽しみでならない。