温かい気持ちになれる一冊
★★★★★
この本はフランスの本屋で見かけて何気なく買いました。この作者の本はまだ読んだことがなかったので、期待せずに読み始めたところ、シンプルな文体ながら、非常に心を惹きつける内容で、どんどん次が気になり、一気に読み終えてしまったという感じです。主人公のリンさんの心理描写がすばらしかったのだと思います。アジアの戦乱をさけ、移民として上陸した国は全く知らない西洋の国。彼の子供のような純真な気持ち、ナイーブさがよく描かれていて、しばしば涙を誘いました。また、言葉がお互いに全く通じないのに、友情をはぐくんでいくあたりには、外国生活を始めた頃のことを思い出し、非常に感銘しました。最後のシーンでのどんでん返しも新鮮です。大人になって忘れてしまった何かを思い出させてくれる一冊でした。