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楕円関数論―楕円曲線の解析学

価格: ¥12,000
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東京大学出版会
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楕円関数論の素晴らしい入門書 ★★★★★
19世紀数学の華である楕円関数論の従来の教科書・解説書では、2重周期を持つ(即ち、複素トーラス上の)解析関数という観点から、楕円関数の解析的な面が主に扱われており、種数1の代数曲線(即ち、楕円曲線)という代数幾何学的対象の超越的(複素解析的)な面に詳しいものは少なかった。本書は、この「楕円曲線の解析学」として、楕円関数論を論ずる本格的な入門書で、この理論に興味を持つすべての方にお薦めできる好著である。

本書の大きな特徴として、以下の3点を挙げることができる。先ず、楕円関数の理論が、計算を含めて非常に詳しく丁寧に解説されていること。次に、Jacobiの楕円関数とその周期や加法公式などが、テータ関数を経由して巧みに導かれており、「テータ関数」の理論のステキな入門書になっていること。最後に、楕円関数の応用として、算術幾何平均と楕円積分の周期との相互関係、及び楕円関数と5次方程式の解法との関連、などの興味深い話題が詳しく解説されていることである。

私見ではあるが、本書のハイライトは、テータ関数に関する「Riemannのテータ関係式」と「Jacobiの変換公式」、及び4.7節に述べられている楕円積分の周期の解説にあると思う。特に、4.7節に述べられている楕円積分のモジュラスkでの微分計算、及び4つの楕円積分の間に成立する「Legendreの関係式」の証明はまことに素晴らしく、間違いなく本書の一つの頂点に位置すると思う。

本書の平易で丁寧な記述は、この理論を初めて学ばれる方でも、そのかなり高度な内容をフォローする事を可能にしている。平易な記述ながら豊富で充実した内容という両立が難しい要求を見事に満たしている本書は、楕円関数論の現代の名著と言うに相応しい。