この本は、自ら「癒しメーリングリスト」と「インターネット・セラピー」(つまりいわゆるメールカウンセリング)をやっている精神科医が書いたもの。ネット依存の問題、セキュリティや倫理的な問題にもふれつつ、「自ら主体的に物語を組み立てる孤独な作業を通じて、深く自分の内面に踏み込む」「ネットゆえにたやすく深層を語ることができる」といった、インターネット・セラピー特有のメリットが深い癒しをもたらす可能性を明らかにしている。
書いてあることは、僕自身がメールカウンセリングをやって感じたことと符合し、経験的によく理解できた。混沌とした胸のうちを、読める形で整理して書くということ自体、すごく骨が折れて、たいへんな作業で、深く考えないとできない。そこに効果の源があるようだ。
精神医療機関では、話題に上っているときいた。が、私のようなクライエントの立場の人にも、有益な本だと感じる。