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黒い夏 (扶桑社ミステリー)

価格: ¥980
カテゴリ: 文庫
ブランド: 扶桑社
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救いなし ★★★★☆
ケッチャムほど好き嫌いの分かれる作家も少ないだろう。好きな作家なのに、読んでいて胸が悪くなるような、でも最後まで目を離せないような、それがケッチャム。最新訳のこの作品にもやっぱりどこにも救いがない。

理由なく若い女性2人を射殺した若者と、それを目撃していた少年と少女、そして事件を追い続ける中年刑事たちが織り成すどす黒くて邪悪な物語だ。

主人公の若者はドラッグとセックスと酒に溺れ、人を傷つけたり殺したりすることになんの抵抗もない人間のクズだ。目をつけた女性をモノにするためにあの手この手で関心を買おうとするが、どこか的外れで滑稽でさえある。そして自分の思い通りにならなかったとき、彼の中で怒りが爆発し、事件は最悪の方向へ転がっていく。

恐ろしいと思うのは、これが小説の中の絵空事で終わらないことだろう。昨今はこれに類似した事件が多発している。小説でありながら、いつ自分の身にふりかからないとも限らないリアルさを感じて背も凍る思いがする。
邪悪な精神。 ★★★★★
ジャック・ケッチャムのひさびさの新作です。
それも今までに翻訳されている全6作の中でページ数583Pと一番長い作品となっております。
その中で残念なことにP229 1行目のレイ(間違い)→ティム、P281 10・11行目のティム(間違い)→レイ、P396 12行目のレイ(間違い)→ティム、P475 10行目のレイ(間違い)→チャーリー、と著者のミスか、訳者のミスかは分かりませんが、話の流れで分かる登場人物の書き間違いが分かるだけで計4箇所ありました(参考にしてみて下さい)。

本作は、プロローグ、第一部、第二部、その後(エピローグ)で構成されています。
また、各ページの段落ごとに登場人物のそれぞれ名前が冒頭に記されていて、その段落ではその登場人物の行動や考えなどが、詳しく描かれているので非常に分かり易いと思います。

そして今作は、長編ということもあって話の進み方が少し遅いのですが、それだけに周り(人物)の背景が詳しく描かれているので、その分後半にかけての、過激な表現(行動)を非常に鮮明(リアル)にさせています。

最後に心臓の弱い方は、読まないことをオススメします。
実際にそれだけのことが書かれていますので、前半、特に後半の終盤にかけては...
とにかく、読み応えは充分にあると思います!!

最後まで読ませるパワー ★★★★★
ケッチャムらしく、後味が悪く、救いのない作品だ。
なのに、最後まで一気に読ませるパワーを持っているところがすごい。
人間の嫌な部分や残酷な部分、卑怯な面を「これでもか」というまでに見せつけられる。
自分の中にも確実に存在する負の要素の片鱗をデフォルメした登場人物たち。
目を背けたいはずなのに、何故か魅了されてしまう。