ほどほど
★★☆☆☆
オフシーズンから11年後の物語。
原題がオフスプリング(子孫、末裔)というだけあって、
今回は子供の野人軍団のお話です。
とはいえ、この作品は前作に登場のピーターズの再生の
物語といえるでしょう。更に、DV亭主と離婚したばかりの
女性とその息子の成長の物語が加わります。
にもかかわらず、今回の作品は内容的に中途半端な印象を
受けました。元々、ケッチャムの作品は、読者に感情移入を
望まないような書き方をし、それが独特の醒めた雰囲気を
生んでいましたが、今回はそれがあまり感じられません。
DV夫の描写もいま一つな感じがします。
また、犠牲者も少なく、前作でならすっぱり(もしくはネチネチ)
殺していただろうと思う人も助かっています。
更には、子供が襲撃者なのでしょうがないのですが、襲うシーンにも
一工夫欲しいと思うところもありました。
ただし、オフシーズンよりも角の取れた描写なので、人によっては
さらっと楽しく読めるかもしれません。
やはりオフシーズンを読んでからこちらを読むと良いでしょう。
悪くはないが、『オフシーズン』の後では…
★★★☆☆
問答無用のスプラッタ『オフシーズン』の続編ともいうべき作品。
当然、食人族のおぞましい描写が満載ですが、『オフシーズン』の後では、二番煎じの感が拭えません。頼りなかった人物の豹変というパターンも同じですし。徹底的にむごたらしくすればよいのに、『オフシーズン』ほどの後味の悪さはありません。
森の妖精の正体は…。
★★★★★
何となく読み、衝撃を受けた「オフシーズン」の続編があると聞いて、再びJ・ケッチャムの作品を手に取った。
食人族の残党が再びデッドリヴァーに現れ、女性2人を“食す”ところから今回の物語は始まる。
相変わらずの巧みなプロットと、登場人物達が魅力的だ。
今回はウーマンを始めとするセカンド・ストールンなどの食人族達にもスポットライトが当てられている。
また、前作の失態の挽回に燃える元刑事のジョージ・ピーターズや、遅れて登場する凶暴な夫スティーヴンの動向にも注目だ。
前作と比べても甲乙の付けがたい良作であるのは間違いないだろう。
強いて言えば、前作に比べて死者が少ない点や、緊迫感のある篭城戦が無かったのが残念かも知れない。
だが、前作と同じでは面白みが無いのでこれはこれでアリだろう。
次は読後感が最悪と称される「隣の家の少女」でも読みたいと思った。
想像力豊かな人にとってはエゲツナサすぎるかも・・・
★★★★★
前作「オフシーズン」の続編。
私としては前作より、ストーリー・描写全てが上回っているように感じました。
人を楽しみながら殺す「子供」を登場させることによって、異常さが尋常な範囲を超えていることを認識させてくれる。更に面白いのがどのように人を「狩る」ことをこの異常な子供たちが覚えていくかの描写が凄まじい。「カウ」と呼ばれる鎖に繋がれ続けの人間、洞穴での生活。悪臭が漂ってくるような異常な生活。
前作との繋がりがほどよく絡んでいて人間くささも感じさせる。
生唾飲み込みながら読み進める、数少ない作品。
泣いた!
★★★★★
「オフシーズン」は世紀の大傑作だけれど、
続編のこれはまた違った良さがあります。
食人族VS一般人 だけではなく、そこにDV夫などが絡んできて
奥行きがぐっと増したというか。
「オフシーズン」がモノクロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」なら
これは天然色になった「ゾンビ」という感じ。
ケッチャムの作家としての成熟ぶりがうかがえます。
前作から続いて登場する(元)巡査の心意気に泣きました。