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“現代家族”の誕生―幻想系家族論の死

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
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日本の家庭崩壊はいつから始まった? ★★★★★
 正直なところ、ここまで崩壊が進んでいるとは思ってもいませんでした。1960年以降に生まれた現代主婦の一般的な傾向と言う事であり、危機的状況だと感じました。食事に始まり、家事、育児、躾まで踏み込み、この危機的状況を伝えて下さっています。

 更に意外だったのは、この変化が最近始まったものではないと言う点です。現代主婦の親世代の多くが、信念や確たる価値観を持たず、周囲との比較だけを基準にしている事を明らかにしました。このような生き方が、娘・息子に引き継がれ、現状があると説明しています。

 親世代が置かれた特殊な状況、敗戦の一ヶ月後に始まった教科書墨塗りや、急速な経済復興に伴う環境激変の下では、価値観を確立するのは困難で、今日の事態に至るのは、必然の結果だと説明しています。

 ブレまくる日本の姿は、こんな所にもあったのですね。しかし、同じように敗戦した、ドイツ、イタリアが、これ程ブレまくっているとは思えません。日本の特殊な事情があるのでしょうか?戦前と比べてどうだったのでしょう?「誰か戦前を知らないか」(山本夏彦著、1999年、文春新書)も読んでみました。日本では、為政者も大衆も、大正の頃から大衆化した民主主義をいまだに使いこなせないまま、右往左往の繰り返しみたいですね。
現代母娘の相互理解にも一役買うのでは? ★★★★★
私はこの本の「娘世代」の一番下のほうにあたります。
今まで親世代と実母に対して、厳しい目を向けていました。
今の世代は、今の世代はという割に、無責任に遊びまくる親世代。
「これからは女性も仕事を」といって育てたのに、適齢期になって急に
手のひらを返したり、昔とはやり方の違う育児に「手伝い」という名の「妨害」を
してくる母親。 なんでうちの親はこうなんだろう・・・と何度も思ったことです。

しかし、この本を読んで、なんと「うちの家庭」は「日本の一般家庭」の
王道だったのか、と驚きました。そして「リサーチ会社の分析力」というものは
これほどまでにすごいものなのかと驚愕しました。

「うちの場合は、○○が入ってくるのは早かった」と実母が自慢する電化製品。
それは日本中の主婦が「うちは比較的早かった」と自慢していたようです。なぜなら
そのときその商品を持つことこそが、「新しいことはいいこと」と国を挙げての
キャンペーンに乗っていた親世代にとって 幸せさの象徴だったから。

娘世代のことを「今の若い人は」という母親たち。でも掘り下げるとなんと彼女たちこそ
若い頃に昔ながらの和食を捨て、オムレツハンバーグカレーライスにお惣菜、の
文化を築いた人々でした。

最初は「全く諸悪の根源はこの世代だったか」と思いながら読んでいたのですが
段々親の世代の人間味や温かみ、文化の背景がわかり 不思議とあたたかい気持ちに
なりました。この週末は母親のところに遊びに行こう、そう思いました。

彼女たちの過ごした時代のことを、娘世代の私たちはもっとわかってあげないと
いけないですね。

今の娘世代は、料理は手抜きだけど お菓子はつくるそうです。
「私はご飯はつくらないけど、お菓子は得意よ」と言っていた自分。
私もまた、世の中の王道だったようです。びっくりです。
どうしてそういう「娘世代」が増えたかの仮説も、すごく納得できました。
2世代だけの豊かな時代検証 ★★☆☆☆
現代社会の食の乱れについて、高度成長時代1960年代以降の家庭の激変について歴史的事実やインタビューをもとに分析しているのはそれはそれで興味深いが、ポイントがその2世代のみになってしまっているのが詰めが甘いように思われた。
作者は、かつてはそうあったはずの家族幻想を前世代にはもうなかったのだと結論付けているが、戦前やそれ以前の家族はどうあったのか?まで言及していない。これでは、家族の食の伝統の継承が戦前までは生きていたかのような錯覚を覚えてしまう。
本文のインタビューにもあったが、戦前までは子どもは面倒見るものではなく労働者として家族の中で仕事をさせられていたという事実は見落とされ、庄屋制度や家制度などの明らかな階級差、また、食事が家長と跡継ぎとは別の場所で、また違ったものを食べさせられていたという家の中での男女別の食事風景などといった話は出てこない。
また、農村部などはまだまだ飢饉や一揆などがあり、ろくなものを食べられなかった家族も多くあり、食が豊かではなかった戦前の時代にまでさかのぼった事実検証がないと、豊かになりつつあった戦後2世代の話のみだけでは、家族幻想が戦前への幻想にシフトしているだけで、戦前家族が良かったような誤解を招いてしまいそうなのが残念。
ただ、食に豊かになった2世代であるからこそ、まったく新しい家族や食事についての継承を考えていくべきという原点として、現代の家族や食事のあり方について参考にする本としては興味深かった。
伝統の断絶 ★★★★★
「家族」について何か真面目に語るのに、必読書となる本である。個人的には山田昌弘の『パラサイト・シングルの時代』以降、最もびっくりした家族本であった。昨今の若い母親(1960年以後生れ)の食卓が激変している(コンビニ弁当・菓子パン・カップめん等が「ふつう」の食事を侵食)ので、じゃあ、彼女らを育てた母親世代はどんな人たちなのだろう、と深いインタビュー調査をしてみたところ、どうも彼女たちが、戦後社会の変動にあわせながら、いや、むしろ、ひとりひとりの選択により社会を自ら変動させながら、日本の「家族」のかたちを激変させていったようだ、という真実が明らかになる。日本史上、他に類を見ない<現代家族>の成立事情が、著者の「実証考察学」により解読される。
戦争前後の「価値の大転換」を経験し、急激な都市化により新たな家庭をつくり始めた彼女たちは、従来の、親からの知識やマナーの教え込みから解放され、本やテレビ番組から料理や子育てを学んだ。新たに登場したレトルト・インスタント食品を活用し、レジャー産業に余暇を費やすという「楽」を知った。子供の望みをできるだけかなえてあげようと思い、彼らの「個性」を育むことに価値を見出し始めた。「教える」「伝える」という伝統の厳しさを捨て、「してあげる」という子供中心主義をとったのである。かくして、たとえばお正月などの年中行事の「しきたり」を守るよりも、それぞれの家族流の「お楽しみ」を追求することを第一とするようになったわけである。
戦後社会の環境が、そこに生きる人々の願いを少しづつ吸収しながら、それまで農村社会で生きてきた「伝統」(これも、一枚岩ではないが)を切断し、いまの家族のあり方や関係を、創造したのである。その変化をみていると、私たちはとんでもなく未知の世界・時代に突入しているのだなあ、という感慨がある。
現代の食の激変のきっかけは戦後にあった ★★★★★
 現代の食生活の乱れの原因を聞かれて、明快に答えられる人はいないだろう。
 著者の地道な定性調査が、それを筋道立てて解き明かす。
 前著「変わる家族 変わる食卓」は、1960年以降に生まれた人々の食生活行動が、それ以前の世代に較べていかに特異であり、それが以降の世代の常態ともなっていることを示した。本書は、なぜ1960年以降に生まれた人々の食生活行動が変わったかを、その親までたどって解明する。
 戦中と戦後まもなくの食糧難で、次世代に引き継ぐべき家庭の食卓の姿をもともと持たない彼らの親は、敗戦を契機にガラリと変わった教育を背景に価値観を大きく変えた、特別な世代だったのである。自ら望んで団地生活を始め、ちゃぶ台をダイニングテーブルに変えた親たちは、新たなメニューをどんどん食卓に取り入れ、その娘たちは、食の情報は家庭の外から仕入れるものだという考えを受け継いでいく。外からの情報に左右されやすい娘たちの行動は、親から受け継いだものだったのである。
 ほんの少し前のことなのに、昔はこうだったに違いないと思い込んでいることがいかに多いことかということを知らせてくれる本である。