社会学者が「人の幸せ項目」をどう考えているか。
★★★★★
新版となり、さわやかな表紙となった本書。
ジェンダー視点により、人の人生の諸相(生、恋愛、結婚、働くetc.)の事を、
「社会学者が本を参考にして、どう考えているか」が分かる本です。
「性役割」を「社会的に作られたもの」、とするために
おきまりの部族のレアケースの話が出て来ます。
・・どうして検証しにくいどこかの部族の話?
じゃあ人食い人種がいたら何だって言うの?
「人肉フリー」になっちゃうの?
あれ?自己決定権に基づくなら「男が男らしく」あっても良いのが、
最近のジェンダーフリーのトレンドでは?「フリー」なんだから。
生まれつきの性を否定するために、またいつもの染色体のレアケース?
あれは「クラインフェルター症候群」といって、医学上は治療の対象ですよね。
・・・極少を根拠にして全体を語る姿勢に、疑問が次々と湧いてきて解決されません。
全体を通じて、「人の幸せ項目」への否定的バイアスはあいかわらずです。
それを普遍化して語るために、おきまりの海外の筆者の名前が次々と出てきます。
社会学の本を多数継続して読んでいれば、確かに無理もない・・こと?
家族は制度、家族はリスク、恋愛は曖昧、家事は無償労働、育児は負担。
そして「多様化」の旗のもと、同性愛や独身は無条件肯定。
筆者たちの主張や見解は脇に置いておくとして、
その参考文献リストの変遷や登場回数を旧版から追いかけていくと
実に興味深い有意義な一冊ではあります。
たとえ地球が滅びても、もしも女性の社会進出が進まないとしても、
学者ならば、ただただ本当のことを、冷酷なまでに客観的に書いて欲しい。
「遺伝子疾患」を「性の多様性」を主張する手段に悪用しないで欲しい。