2枚組ライヴアルバム『ファミリアー・トゥ・ミリオンズ』から1年7か月ぶり、スタジオアルバムとしては『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』以来約2年半ぶりとなる、イギリス出身男性5人組バンド、オアシスの最新5thスタジオアルバム。
力強いサウンドとディープな歌声のファーストシングル<1>(2002年4月U.K.チャート初登場No.1)、深く広がるスローバラード<4>(セカンドシングル)を中心に、軽快なアップテンポナンバー<3>(新メンバーのゲム・アーチャーがソングライト)、メロディアスなミディアムロック<8>など、ザラザラ感とハスキー感が混在するノエル・ギャラガーのヴォーカルナンバーが秀逸だ。アルバムタイトルは、ノエルがイビザで買ったTシャツから取ったもの。(速藤年正)
新生オアシス、始動
★★★★★
前作のレコーディング後、新たなメンバーとしてゲム、アンディが加入する。
新メンバー加入後すぐに行われたツアーはノエルの脱退騒動もあり、波乱に富んだものになった。
が、本当にヤバかった2000年のノエル脱退→解散危機を乗り越えた事でバンドとしての結束力は一気に高まった。
2000〜2001年にかけての長いツアーで得たそんな「確信」をそのままスタジオに持ち込んで出来上がったのが、この傑作である。
まだ若干サイケデリックな味が残ってはいるものの、それまでに比べて明らかに風通しの良くなった楽曲は捨て曲無し。
リアム作の「ソングバード」はツーコードのシンプルながら病みつきになる名曲。
新メンバーのゲム、アンディの曲は次作と比べると申し訳程度の収録だが、彼らの作風も新しいオアシスの誕生に大きく貢献している。
このアルバム発表後のツアーも素晴らしいもので、オアシスは再び上昇気流に乗る。
そしてオアシスは更なる傑作を生み出すことになる。
変わらないことの美しさを求めるか、驚きを求めるか。
★★★★☆
「バタフライ・エフェクト」(素晴らしい映画です)のエンディングテーマにもなった
バラード曲「Stop crying your heart out」がアルバムの主軸を為し、
比較的落ち着いた楽曲が多いアルバム。
「Stop〜」だけでも買う価値ありですが、相変わらず平均点が高いです。
リアムが「Songbird」「Born on a Different Cloud」「Better Man」と3曲も
提供しているところも特徴のひとつです。
さて、ノエルが脱退を宣言(また戻ってきてくれると信じてます)してから
だいぶ経ちますが、今思えばこのアルバムが転機だったのかなと思います。
ギャラガー兄弟以外にもソングライティングができる実力派のアンディとゲムが
加わったことで音楽的な意味でも新生オアシスとなるべきだったのが、
特に新しい試みはなく、今までのオアシスから変化・進化を感じることができませんでした。
リアムが作曲した3曲も言ってしまえばノエルのフォロアーという印象でした。
変わらないことの美しさもあるとは思いますし、
オアシス・サウンドをどれだけの人が望んでいるのかを考えると
メンバ交代劇により大きく変わってしまう方が失望したのかもしれませんが、
後世の記憶に残るような作品というのは常にファンに驚きを与えてきたと思いますし、
変わるのならばこのタイミングしか無かったように今さらながら思わざるを得ないのです。
雑誌のインタビューでノエルが新しいことをやりたいと言っているのに対し、
リアムは何も変えたくないという意思を貫いており、
この意識のズレがこのアルバムに垣間見えると思いました。
とはいえ他の方々のレビューの評価点が高いことからも、
変化を求めている方も少ないのかもしれませんが、
あえてこの時期に書くレビューとして述べさせて頂きました。
再生
★★★★☆
「再生」を感じさせるシンプルなロックを基盤とした、オアシスらしさがふんだんに盛り込まれた傑作5thアルバム。
あらためてロックンロールの素晴らしさを訴えかける「The Hindu Times」、幅広い層にも受け入れられるような、とても切ないバラード「Stop Crying Your Heart Out」、ノエルが歌うロックバラード「Little By Little」がシングル曲。それ以外には、アコースティックの小品「Songbird」等リアムの成長が目立つ。
ただ、ロックンロール・アルバムをコンセプトにしていただけに、ノエルの弾き語り曲であるボーナストラックは、それを台無しに(良い曲だが)。
アーティストの意志を尊重するなら、輸入盤をどうぞ。
力強い新フォーメーションへ
★★★☆☆
新メンバーには驚いた。
ヘビステのゲムはともかくとしても
あのライドのアンディ・ベル!しかもベース?!
(ハリケーン#1はもろオアシスだったが。)
とにかく才能的にもルックス的にも
最強のラインナップが揃ったわけである。
この作品を足懸かりとして、
今後ソングライティングの面でも徐々に
ノエル依存型からの脱却が図られ、
より健全なバンドスタイルが確立されていくことになる。
とは言え、このアルバム中のとんでもない3曲(1、4、6)は
全てノエルの手によるものであり、
まだまだ今作ではノエル曲と非ノエル曲のクオリティの差は大きい。
ノエルの負担は軽減しなくていいからもっと頑張ってもらって
やはりノエル印の曲を量産してほしいと思ったのは
ノエル原理主義者の我儘だろうか。
ノエルギャラガーいわく「今回のHeathen Chemistryはビートルズでいえば青盤だ」
★★★★☆
「oasis」の5枚目のアルバム。
ノエルギャラガーいわく「今回のHeathen Chemistryはビートルズでいえば青盤だ」。
アルバムが出るたびに今回は最高だ!!ってぶち上げるのは恒例ではあるが、このアルバムは多少信じてもいいのかな?と思う。
ただどうしても「Morning Glory」を上回るとは思えないんだな。
「Morning Glory」は時代の流れにジャストすぎただけなのかもしれないけれど、やっぱり「Hello」で始まって「Wonderwall」&「Don't Look Back In Anger」の二連発、ラストに「Champagne Supernova」っていう究極のアルバムを超える事は事実上不可能なのだろう。
誰も期待してないのかもしれないけど、あの時のドキドキ感が蘇ってこないのが残念でしかたがない。
自分が失っていく時間(青春って表現すればいいのかな?)その寂しさと「oasis」の現状が比例しすぎるが故に寂しさを感じてしまう。
でも「Heathen Chemistry」は決して悪いアルバムではない。個人的にはノエルの歌う「Little By Little」が好き。