絵巻は楽しい
★★★★☆
ベルリン東洋美術館にある熈代勝覧という絵巻について、図版を説明したもの。図版が多く、江戸時代の神田から日本橋までの通りにいる人々や、両側の店などの様子が詳しく描かれていて、見ているだけでも楽しい。「掃除しよ」といって勝手に箒で掃除をしてカネをせびる清目の存在などは、居住者たるユーザが目標としていないことをしてくれるお節介であり、それでも家の前はきれいになるからそれなりに納得してカネをやっていたのだろう、などと考えると人工物発達学的にも面白い。いや、雪駄と草履の違いすら知らずにいた自分なので、ちと恥ずかしいが、こうした形で人々の生活を知ることができるのは楽しい。公明正大な覗き趣味というわけだ。国文学研究資料館あたりには、こうした絵巻が沢山あるだろうて、うらやましいことだ。目的とした食具については情報がなかったけれど、それなりに楽しめた。
すごい!細かいとこまでよく描いた
★★★★★
運良く「熈代勝覧」が日本に里帰りした際、日本橋で現物を見ることが出来ました。混雑した中ガラス越しだったので細部まではよく見えず。本当は虫眼鏡片手にじっくり眺めたいのですが。この本は、拡大図満載で見ていてとても楽しいです。生き生きした江戸の町が目に浮かびます。本当にミクロの世界というか、ちまちましていて、作者は相当の凝り性だったのでしょう。コメントも楽しく、江戸が好きな人には絶対にお勧め。威勢のいいお兄さんの呼び声、犬の吠える声、子供のぐずりなどが聞こえてきます。
とにかくすごい
★★★★★
今から200年前(江戸時代)の今川橋から日本橋までの大通りを詳細に描いた絵巻をもとに
そこに登場する様々な店、職業などの中から注目すべき箇所をピックアップ。
建物や看板、町行く人のファッションから
どうしてこのような文化が流行したのかと
歴史的な説明が添えてあるので楽しみながらお江戸文化に触れることができる本。
絵巻自体はルーペを使わないと文字まではみられないそうなので
拡大図で説明まで読めるのはありがたい。
何度も見ているうちに自分も町の住人になったような気がしてきます。
カルル・ヴェルネ「聖フルベルトゥスの祝日の鹿狩り、1818年、ムードンの森」を見てすごいなぁと感心していましたが
これもまた同じくらいすごい気がします。
日本版ウォーリーを探せ。
★★★★★
熈代勝覧の里帰り展覧会「日本橋絵巻」にあわせての出版でしょうか。実に良いタイミングでの発売です。以前、江戸東京博物館でも展示されたことがあるが、展覧会図録では他の作品との関係もあり小さいサイズでの収録だった為、作品の存在は分かるが細部を楽しむことは出来なかった。
本書は一冊すべてを熈代勝覧のために捧げられており、原本とほぼ同サイズなので、絵巻の登場人物一人ひとり、商家の暖簾など建物の細部までしっかりと印刷されている。さらに著者が解説したい物売りなど一部分は原本より拡大して解説してある。江戸の風俗を簡単に楽しめる一冊であり、見方によっては日本版ウォーリーを探せといった感じの本です。