最後に残ったもの
★★★★★
エルサレムでロビンから母のまりんを救った真悟は、まりんとの(あまりに悲しい)出会いの後、“母の言葉”を父のさとるに伝えるため東京へ向かう。彼は途中で出会う人々に様々な奇跡を起こすのだが、その度にエネルギーを失い、自らは動けなくなってしまう。それでもなお、魂に共鳴した動物たちの助けにより、さとるの元へ…。一方佐渡島では、恐るべき事態が進行していた。何者かの侵略…!?そしてついに、父のさとるを見つけた真悟!最後の力を振り絞り、彼がさとるに残したメッセージとは…
“友だち”と真悟が再会し、そして、彼女に起きた奇跡はまさに驚愕。ボロボロになりながらも、母の言葉を伝えるため、父の元に向かう真悟の姿は涙なしには見れない。静かさの中に、真悟のさとるとまりんへの愛情を、楳図先生以外誰も描けないような手法で表現した崇高なラスト。とても全貌は理解はできない。だがとにかく、凄いものを見てしまった…!という感嘆が、いつまでも胸に残る作品です。
前略〜いよいよ次号より、胸いっぱいにふくらんだ情念をぶつけることになります。言葉では言い現わせない、熱い想いと感動を伝えたい。あなたに!!そして、あなたは、何のために、私をつかわしたのでしょうか?わかりません。言える言葉はひとつ。「愛が流行ると……が近い!?」。「漂流教室」をはるかにしのぐ、スケールと感動、そしてさらに計算された現実性と崇高な願いを込めて、この一作に全てを結集して描き切ります(ビッグコミックスピリッツ)。これはスピリッツの連載直前に掲載された楳図先生自身の言葉です。今読むと、言葉の一つ一つが重く胸に響きますよね。
未発表原稿が!!
★★★★★
いよいよ最終巻の6巻ですが、買ってビックリしました。
外表紙や折り返し、本体のセル表紙に、未発表の原稿が何枚か使われています!
全て扉絵用に描かれたものだと思いますが、何故に未発表なのか全く不明。
オモテ表紙に使われているイラストはベタ用の目印×が所々にあるので、
後はベタを塗れば完成の原稿だったと思います・・・完成前でもこのクオリティ(驚)
ウラ表紙に使われているイラストはタイトル文字が邪魔して、その全容は見れないですが、
断片でも見れたことは、とても嬉しいことです。
中身の編集については相変わらすイイカゲンニシロな部分も多いですが、
それは未発表原稿を載せてくれたことで相殺します(笑)
編集GJ!!
リアルタイムで読んでた当時はまだ中高生だったからか、毎回ただ、つらつらと何も考えずに、
「なんだかスゲーよ楳図先生!!」と感じるまま読んで居たのですが、
年齢を重ねてこうやって全巻を通して読んでみると、改めてこの作品の素晴らしさが身に染み入り、
また、この作品に違った考えがわきあがってきました。
もしかして楳図先生は、真悟の生まれてから消えるまでを描く事で、人の一生を擬えているのではないか?と。
精子と卵子が出逢って命が生まれ、意識が芽生え感情が生まれ言葉を覚えて、
世の中にどんなことが起こっても、最後にはアイが残って欲しい。
「奇跡は誰にでも一度おきる だが おきたことは 誰も気がつかない」
とは、私達一人一人に投げかけている言葉なのではないでしょうか?
そして、その「奇跡」に気づいて欲しいという願いの言葉でもあると思います。
奇跡で生まれた命を大切にしなきゃね・・・なんて。
この作品に出逢えたことに感謝します。
永遠の★★★★★