いつもの夢枕節で訥々と語っていくものの、背筋が薄ら寒くなるような不思議な感覚を豊富に封じ込めているような気がします。1985~1989年に書かれた作品ですが、
まったく古びていないのは流石です。
特筆すべきは、たむらしげるさんのイラストで絵本にもなっている「羊の宇宙」。これは、他の7編と趣が違い、非常に哲学的で思索的。様々な読み方があり、考えれば考えるほど深い…「奇妙な味」の中に、こういう作品をサラリと混ぜてしまうところが、またファンが多い所以なのでしょうね。