ことばとおとの日々
★★★★☆
映画を中核に据えた短編集。ただしすべての話は少しずつ繋がっている。「太陽がいっぱい」は作者本人が主人公のように書かれている。少し悲しく、そして暖かい物語たち。最終話の「ローマの休日」がすべての話とかかわる話となっている。家族の愛、男女の愛、映画への愛にあふれ、そして勇気をもらえる、そんな秀逸な作品です。
かぞくの本棚
★★★★☆
ままざまな人々の映画にまつわるひと夏のエピソードが綴られる5編の物語。
映画好きなら必ず知っている名作からこだわりのカルト作品まで多くの映画の話題がちりばめられています。
5つの話はそれぞれテーマが異なるのですが、微妙なつながりを見せています。
「ローマの休日」また見たくなっちゃいました。
柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★★★
5つの映画のタイトルが付けられた短編集。
◆映画にからんだ物語の一つ一つがいろんな色合いでとってもおもしろいかったです。
友情に涙したり、家族の愛情に温かくなったり…。
丹念に人物の心情が描かれたすてきな物語をさらに映画が彩って、一気に読むのがもったいない本でしたね。(一気読みしてしまったけど)
◆お気に入りは民族学校で同級生だった友達の思い出の「太陽がいっぱい」です。
もちろん夫の自殺後引きこもっていた女性とレンタル・ビデオ店の青年の「ドラゴン怒りの鉄拳」もすごい好きだし、父親が預かった金を持ち逃げする「恋のためらい~」は、その後の方が気になりますし、この話しをつなぐ糸であった「ローマの休日」上映会の物語である「愛の泉」はなんとも幸せな気分になります。
でも「太陽がいっぱい」の中で“実はいずれ物語の力にひれ伏し、俺らの物語は事実として語られ始めるだろう”この文章に私はひかれてやまないのです。