土浦海軍航空隊の飛行予科練習生の倶楽部に指定されている村松家の少年克郎は、虚弱体質ながらも日曜日ごとに家に集まる青年たちに憧れ、自分も予科練を受けようと必死の鍛錬を続けていく。戦時中、予科練の訓練などの生活を描き、その素晴らしさを描くと共に少年たちの憧れを煽ろうと製作された国策映画。ただし宣伝臭は確かにあるものの、明朗素朴な作りには意外と胡散臭さはなく、むしろ娯楽映画としての楽しさに満ち溢れた佳作に仕上がっている。また少年を鼓舞する姉に原節子が扮し、そのマドンナ的存在感も作品に大いに貢献。そもそもの目的は目的として、戦後60余年経った今、映画としての素晴らしさをこそ讃えたい作品である。監督は娯楽派・渡辺邦男。（増當竜也）